2006年5月17日水曜日

W杯メンバー選考を分析する(超マニアック!)





GK 土肥洋一 川口能活 楢崎正剛
DF 田中誠 宮本恒靖 加地亮 三都主アレサンドロ 坪井慶介 中澤佑二 駒野友一 中田浩二
MF 福西祟史 小笠原満男 小野伸二 中田英寿 中村俊輔 稲本潤一 遠藤保仁
FW 玉田圭司 柳沢敦 高原直泰 大黒将志 巻誠一郎


ついにサッカーの日本代表、ドイツW杯のメンバー23人が発表されましたね。
昨日あたりのmixiで日記の検索をかけてみたら、ぞろぞろとその関連の日記が。やっぱ、代表メンバー発表ともなると、世間の注目度も一気に跳ね上がるようです。夜のニュースではトップ扱いだし、街では号外が出るし…。
オレは、サッカー見続けて24年の人間で、それこそドーハの悲劇よりもはるか以前から熱狂的にサッカーを見続けてきている人間ですが、そのころからすると、隔世の感があります。もっとも、日本がW杯に出るというだけでも、むかしからすれば、夢のまた夢、想像もつかないことでしたけれども。

ま、そんなことはさておき、今回のジーコの人選を考察してみることにします。
今回は、超マニアックにいきます! 誰もついてこれなくてもいいです!(笑)

まず、久保竜彦の落選と巻誠一郎の逆転当選。これはサプライズという表現で伝えられましたが、このところメディアによって喧伝されてきた「サプライズはあるのか?」という問いは、結局のところ、ジーコが冷徹なリアリズムの眼でメンバー選考出来るのかどうか、ということでした。
その意味で、その潜在能力を誰よりも評価していた久保竜彦を外し、巻誠一郎を入れたことは、ジーコが勝負師としての冷徹なリアリズムをオレたちに示してくれた、ということです。ここは、大いに評価していい点だと思います。

ポジション別に見ていくと、
まず、GK。ここは鉄板です。事実上の正GK川口能活が、何番の背番号を付けるかに、個人的には興味があります。彼の背番号「1」への執着は有名なのですが、前回フランス大会では控えにまわり、今回は復活劇です。なら、復活の象徴として「23」を選ぶかもしれない。当人は、どちらの番号を望みますかね? ちなみに、過去2大会で、背番号「1」の正GKがピッチに立ったことはありません。

DFは、4バックを想定しての8人。バックアップ要員を加えて、ポジション別に2人ずつ用意したというわけです。気になるのは、高さに難がある、ということ。オーストラリア、クロアチアと高さのあるチームを相手にするのには、DFの平均身長178.5cmは、とてもじゃないですが、心許ないです。第一、180cmを超えるのが中澤佑二と中田浩二だけというのはどうしたことですか。この高さで、ビデュカやプルショやアドリアーノと相対するのかと思うと、ゲンナリします。日本の最大の武器であるセットプレーからの得点も、これでは半減します。
中澤佑二の代役として、茂庭照幸、田中マルクス闘莉王、松田直樹が挙げられると思うのですが、茂庭照幸、松田直樹は代表にほとんど呼ばれず、田中マルクス闘莉王にいたってはジーコに見向きもされませんでした。今にして思えば、これまでに彼らを代表に呼んでおき、チャンスを与え、最終選考候補リストに加えるべきだったのでは、と思います。中田浩二には、大事な場面で取り返しのつかないミスをしてきた印象が強いので、彼の選出は、素直に喜べません。

MFは、FW枠に1人譲ったために7名。中村俊輔のバックアップが見当たりません。遠藤保仁がその役割を担うのかもしれませんが、ここはやはり、松井大輔だったと思います。ジーコの選考に唯一の不満があるとすれば、松井大輔の落選です。中村俊輔の控えとしては申し分ないし、ドリブルと個人技でゲームの流れを変えられる数少ない選手だし、年齢的にも大舞台を経験するのに最も理想的だし、なによりフランスのファンをうならせたそのテクニックをドイツでも見てみたかったと思うのは、オレだけじゃないはずです。今回の松井大輔の不在は、現代表のみならず、4年後の代表にとっても痛手となる可能性があります。

そしてFW…。過去最多の5人が選出されました。ジーコが原則として持ったのは各ポジション2人を用意するというものですが、FWを1人余分に選出し、そのかわりにMFを1人削っています。これはつまり、FWに決定的な人材がいない、ということです。なので、人数を増やすことで対応する。日本の FWの人材不足は今にはじまったことではないし、ジーコが今回とった措置にも、異論はありません。
しかし、このFW陣のなかで、W杯経験者は、ケガ明けを待つ柳沢敦ただ1人。その柳沢敦も、前回大会ではノーゴールでした。こうなったら柳沢敦が1日でも早く復調することを祈るしかありません…。
それから、なんといっても、巻誠一郎。どれだけ出番があるかわかりませんが、途中出場で会場を大いに沸かせるその存在感と情熱は、見ているオレたちを感動させてくれます。ドイツでの活躍次第では、ヨーロッパ移籍への足掛かりとなる可能性もあり得ます。案外、本番で大化けするタイプかも。

本番で大化けといえば、前回大会で日本のファーストゴールを決めた鈴木隆行が、今回の選に漏れました。いつからかジーコジャパンに呼ばれなくなったから仕方ないのかもしれませんが、そのことを指摘するメディアが皆無だったことは、時の流れを感じずにはいられません。
佐藤寿人の落選も、事前にある程度予想されていたとはいえ、やはり落胆しました。貢献度から考えると玉田圭司でしょうが、今の旬という観点から見ると、佐藤寿人です。ジーコは、貢献度を選んだようです。
今年に入ってからの佐藤寿人のプレーには、代表でもサンフレッチェ広島でも、尋常ではない凄みと目のさめるような潔さが感じられました。代表ではFWの序列の最後尾、サンフレッチェ広島もなかなか勝てずに最下位のあたりをさまよっていましたが、どこへ行っても逆境というなかにあって、それでもけっして悲嘆に暮れることなく孤軍奮闘していた彼のひたむきさは、ときに冷笑しがちなファンの心に熱い息吹を与えていました。オレはサンフレッチェ広島のファンではないけれど、佐藤寿人というフットボーラーには、今後も心からの声援を送り続けたいと思っています。

リストを眺めていて、ヨーロッパ組が過去最多の6名。一方で国内組の所属クラブの内訳を見てみると、ジュビロ磐田の3人が最高です。チーム結成当初は鹿島枠と揶揄されたほど鹿島アントラーズの選手が代表に名前を連ねていましたが、最終的には以外にも、小笠原満男と柳沢敦の2人だけ。もっとも、中田浩二は元・鹿島アントラーズですが。そういえば、横浜マリノスから中澤佑二1人というのは、この4年間の横浜マリノスのJリーグでの成績からすると、意外といえば意外です。

この選考を見ていて、残念に思ったことが2点あります。
ひとつは、ベテランの不在。
W杯のアジア最終予選で存在感を示した三浦淳宏が、選から漏れました。どんな組織でもそうですが、逆境に陥ったとき、ベテランの存在は、それだけで光ります。事実、アジア最終予選では、三浦淳宏の存在がなければ、どうなっていたかわかりません。宮本恒靖、中田英寿、小野伸二、稲本潤一、柳沢敦、福西祟史…、ベテランではなくとも多くの国際経験を積み、海外での生活経験も持つ、ベテラン並みの経験値を誇る選手はたくさんいますが、たとえば前回大会の中山雅史や秋田豊のような、チームの縁の下の力持ちになれるような存在が、このチームにはいません。それが出来る唯一の存在が三浦淳宏だっただけに、今回の落選には落胆しました。しかも、彼は、今の日本代表に手薄なサイドアタックのスペシャリストでもあります。
もうひとつは、アテネ世代からの選出が駒野友一のみだったという事実。
阿部勇樹、今野泰幸、田中達也、大久保嘉人、石川直宏、茂庭照幸、田中マルクス闘莉王、平山相太、那須大亮、高松大樹、徳永悠平、長谷部誠などなど、次代を担うべき世代のタレントが、今回1人として選ばれなかったのは、どうしたことでしょうか。
当時の山本昌邦五輪代表監督が、キャッチフレーズに使っていた「アテネ経由・ドイツ行き」は、結局のところ、空手形に終わりました。
とはいえ、これは山本昌邦監督のせいでも、ジーコ監督のせいでもないように思います。責任は、世代間を繋ぐビジョンを提示出来なかった日本サッカー協会に求められるのかもしれません。A代表と五輪代表での強化のベクトルに、まったく統一性がなかったことで、結果としてこの世代をスポイルすることになってしまったと思われるからです。

思えば前々回大会のメンバーには、21歳の中田英寿と18歳の小野伸二がいました。前回大会には、突出して若い選手はいなかったものの、川口能活、楢崎正剛のGK陣、そして中山雅史と秋田豊のベテラン勢を除く大半の選手は、前任者のフィリップ・トルシエが見いだした「金の卵」たちでした。こうした過去の先行投資が、今の代表を支えています。
しかし、このなかに、4年後の代表キャプテンや、リーダーシップを取るべき人物を見出すことが出来ません。4年後のW杯へ夢を託すことが出来そうな、未来の宮本恒靖や未来の中田英寿が、このリストからはイメージすることが出来ません。


しかし、なにはともあれ、W杯に臨むメンバー23人は決定しました。ケガ人が出ないかぎり、このメンバーが、ドイツで闘うわけです。もう、選考に不平不満を言っても仕方がありません。腹をくくらなければなりません。

冷静に予想すれば、日本が入ったグループは、ブラジル&クロアチアの2強、日本&オーストラリアの2弱にパカッとわかれた、無風のグループです。しかしながら、4チームともが異なる特徴を持ち、バラエティに富んだ面白いグループでもあります。それゆえに、なにかが起こる可能性もあります。もとより、サッカーは、あらゆるスポーツのなかでも、もっともなにかが起こりやすいスポーツでもあります。

ここまできたら、評論は必要ありません。すべてを信じて、腹の底から応援します。また、そうすることでしか、勝つ可能性も生まれてきません。

いよいよオレも、W杯モードです☆
なので、今日はこれを聴いときますか(笑)



本日の1枚:
『チャンピオーネ』
オレンジレンジ

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