2007年4月17日火曜日

R35


01. SAY YES/チャゲ&飛鳥
02. 君がいるだけで/米米CLUB
03. 何も言えなくて…夏/JAYWALK
04. Get Along Together ~愛を贈りたいから~/山根康広
05. TRUE LOVE/藤井フミヤ
06. シングルベッド/シャ乱Q
07. 離したくはない/T-BOLAN
08. クリスマスキャロルの頃には/稲垣潤一
09. Woman/中西圭三
10. 夏の日の1993/class
11. もう恋なんてしない/槇原敬之
12. サボテンの花 ~“ひとつ屋根の下”より~/財津和夫
13. 接吻 kiss/オリジナル・ラヴ
14. 壊れかけのRadio/徳永英明
15. 愛が生まれた日/藤谷美和子・大内義昭
16. 世界中の誰よりきっと/中山美穂&WANDS

ワーナー・ミュージックから『R35』というコンピ盤が出るのですが、このアルバムのそのラインナップが、上記。
6曲目と13曲目は知ってるけれども、あとはどれも知りません(笑)

宣伝文句は、こんなです。

もう一度、妻を口説こう。
あなたは今も「I LOVE YOU」と、言ってますか?
90年代前半…トレンディ・ドラマやCMタイアップにより数々の名曲が生まれた素晴らしい時代。そしてその時代はトリプルミリオン、ダブルミリオン、ミリオンセラーのシングルが数多くリリースされた。そんな時代背景の中で生まれた90年代前半のドラマのクライマックスを飾った美しいバラード、CMにより数多くの人に愛されたラヴソングにフォーカスした究極のラヴ・バラード集!収録曲のトータル売上げ枚数はなんと!2,000万枚を超える超豪華な楽曲ばかり!メガヒット・バラードの決定盤といえるコンピ!!!

90年代前半といえば、旅をやめて、オレが、日本で暮らしだしたか暮らしていないかくらいのころですわ。
だから、これらの曲を、きっと聴いてるんでしょうけどね。だって、合計で2000万枚超えてるんでしょ。耳にしてないわけがない(笑)
表題は「R35」で、オレは41歳だけどさ、まあ、同年代ですよ。

もう、バブルが弾けるあたりのころですよね。
こっから先の10年が失われた10年と呼ばれているわけだけれども、オレにとっては、ここまでの10年、日本にいなかったので、90年代前半までが、オレの失われた10年ですわ。
バブルの開始前夜に仕事をはじめたから、それこそバブルの恩恵に少しは与ったんですけど、あの、毎晩パーティみたいな躁状態に居心地の悪さをかんじて、オレは旅に出ました。

日本を捨ててやる気分も、少しはありました。
もちょっといえば、自分が根を張る場所、それは自分が具体的に生活していくための土地であったり人間関係であったり、職業であったり価値であったりするわけですが、そういうものを探すために旅に出たのですが、そういってしまうと少しかっこつけすぎで、身もふたもないいいかたをしてしまえば、なんかいいことないかな、と、そんなかんじで旅に出たんですよね。

あんとき、
なんかいいことないかな、と思ったってことは、バブル前夜のあの空気を、オレは、いいことだとも居心地がいいともまったく思っていなくて、そこに混ざっている自分がとてもイヤでかっこわるくて、とにかく、いち抜けしたいな、と。

もっともっと端的にいうと、
オレはおまえらとは違うよ、という意識が、かなりありましたわ。
オレは特別でっせ、ヘンタイでっせ、と。
第一、聴いてる音楽が違う。
今でも、どっかで、そういう意識はありますけどね。

ただ、自分がマイノリティだという感覚は、持っていても仕方がないし、どっかでそういう意識があるにせよ、出来るだけ、そういうことは思わないようにしてます。
普通というのは案外と偉大なものだということも、少しはわかる年になってきました。

同年代の知り合いやマイミクさんを見ていると、いわゆる普通といわれるような平々凡々な人生とは違う道を歩んでいる人は多いんだけれども、そういうのを見ていると、普通も普通じゃないもないな、ということを、かんじます。
それぞれが固有で、それぞれが特別で、それでいいんじゃないか、と。
だから今、オレは、普通でっせ!と、堂々と言えるし、そう言えるぶん、少しはタフになっているんだろうなと、思うのです。

年若かったあのころの自分、力がなくて、情熱だけを持て余して立ち尽くしていただけの自分に、今のオレが、大丈夫なんだよ!と、言いにいってやりたいくらいです。

こないだ、神戸出身の古い友だちが、長く東京で暮らしていたのだけれども、転勤で戻ってきました。
彼は、震災を知らないのですね。
帰ってきた彼にとって、神戸は、すでに幼いころに暮らした神戸とは違う景色になっていたそうです。
そして、震災も体験していない。
だから、ずっと神戸で暮らしている彼の旧友たちとは、なにか、決定的に違うものを感じたそうです。
共有していたはずのなにかが、なくなってしまったような、そんな喪失感がある、と。

それを言い出したら、オレなんて、このアルバムにあるような曲を知らないし、そういう意味では、同年代の人たちと共有しているものは、少ないかもしれない。
でも、それでもオレは普通だと堂々と言えるし、知らないことの負い目もないし、それでいいのだ!ってことじゃなくて、それはそれで仕方ないじゃないか!ってかんじなのですよ。

それでもオレはオレで、生きていくしかないではないですか。
震災を体験しなかった彼が、かつての居場所をなくしてしまった彼が、やはり、それはそれとして生きていかなくてはならないように。



このアルバムに収められた曲が流行っていたころ、オレはオレで、こんな曲を聴いていました。
速いとか遅いとか、リズムはそうした曖昧で相対的なものではなくて、3/4拍子だとかエイトビートだとか、徹底的に絶対的で、秩序の根本でありながら何者からも自由で、そういうものへの憧れがオレのなかにあったからこそ、こんな音楽ばかりを聴いていたのでした。

それはそれでしょうがないと思うし、それでよかったのだと、思っています。


こだま和文 / 『STARS』

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