2006年7月10日月曜日

彼が不在





フランスvsイタリア=1-1(PK5-3)

先制したのは、白のユニホームのフランス。
前半7分、マルーダがペナルティー・エリア内でマテラッツィに倒されてPKを獲得、これをジダンがループ気味のシュートで見事に決めて、フランスが先制しました。
しかし、その12分後、マテラッツィがPK献上の汚名返上とばかりに、ピルロのコーナーキックを高い打点でヘディング・シュート。弾道は豪快にゴールネットを揺らし、イタリアが1-1の同点に追いつく…。
守備の堅い両チーム、しかも疲労もピークに来ているはずの決勝戦で、前半にこれだけ試合が動くとは思いませんでした。

もっとも、後半、フランスはリベリのドリブル、そして少し引き気味の位置からアンリを中心に組み立てるなどして何度かチャンスをつくるも、効果的な攻撃参加を見せるビエイラが後半早々に負傷退場したのが響きました。
対するイタリアは、チームにフィットしていないトッティとペッロッタに代えて、デ・ロッシとイアキンタを投入。さらにデルピエロを送り込んで攻撃の活性化を図りましたが、両者ともに守備の集中は途切れることなく、試合は1-1のまま延長戦に突入…。

そして、事件は起こりました。
延長後半5分。ジダン、レッドカードで一発退場。この試合をもって現役生活を終える、あのジダンが退場です。
ジダンとマテラッツィは最初は談笑していたものの、マテラッツィのひとことにジダンが逆上、頭突きを食らわせた…。いったい、どんな悪魔の言葉を囁いたら、談笑していた相手が烈火の如く怒り出し、頭突きを食らわせるまでにいたるのか。

しかし、ジダンという人には、そういうところがありますね。98年フランス大会でも、自分が倒した選手を踏みつけるという愚行に出、2試合の出場停止を食らいました。ジダンのなかには、制御不能なマグマが内包されていて、ときおり、思わぬかたちで吹き出します。そういえば、ジーコも、ヴェルディ戦でボールに唾を吐いて退場になったことがありました。あのジーコが、です。

おなじ匂いを感じるんですけどね。

フランスにとって、ジダンが不在だったのは最後の10分間だけです。でも、この10分間が大きかった。
PK戦にもつれ込んだとき、ジダンがいない。この不在は、フランスにとって図り知れないものがあったように思います。

勝負にタラ・レバはないし、イタリアの優勝に一片の傷をつけるつもりも毛頭ないけれども、
ゲームセットの笛が鳴るよりも早く、ジダンのラスト・ダンスが終わってしまったことに対する喪失感は…、オレにとっても小さくないものでした。

結局のところ、今大会のMVPに選出されたのがジダンだっただけに。

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