2006年12月24日日曜日

ご祝儀のお札はなぜ3つに折るのか?

先日、『デザインにひそむ<美しさ>の法則』という本を読みまして、その本のオビに書かれていたのが、この日記のタイトル。今、ソフトバンク新書から出てますが、amazonのURLは異様に長いので、リンクは貼りません。。。

工業デザインについて、一般にもわかりやすいように噛み砕いて説明してくれている本です。
オレは平面のデザインしかしないし(パッケージのデザインすらしたことがないくらいですから)、そもそも独学ゆえにデザイン理論を体系づけて学んでいるわけでもないので、重くならない程度に、この手の本をときどき手にします。

んで、ご祝儀のお札はなぜ3つに折るのか?ですが、この理由が奮っていましてですね。ちょっと面白かったので、要約して抜粋。

まず、千円札を例にとると、
寸法は、縦76mm×横149mm
これ、比率に直すと、ほぼ1:2ですね。
この比率自体は、日本でむかしから好んでよく使われる比率で、畳やら建具やらは、この比率でつくられてます。
んで、この千円札を2つに折ると、縦76mm×横74.5mmとなるから、ほぼ1:1の正方形。
で、これをさらにもう一度2つに折ると、縦76mm×横37.25mmとなって、縦横比は逆転するけれども、おなじ比率のほぼ2:1になる…。
なかなかよく出来ていますな。さすが、世界に冠たる日本のお札☆

ところが、ですな。
ここまでで感心していたのも束の間、今度は3つ折りにしたときの縦横比を計算してみると、これがまた、すごいことに。
3つ折りにしたお札は、縦76mm×横49.6mmで、約1:1.5の比率に。これ、ほとんど黄金律の比率ですやん!
黄金比というのはヨーロッパでむかしから美しいとされている比率の代表格で、日本の工業デザインにも、多数取り入れられていますわ。
一般的なトランプがそうだし、クレジットカードなんかのカード類、ハイビジョンテレビの画面、名刺、タバコのパッケージ、果てはiPodまで、身近なところだけでも拾っていけば、なんぼでも使われているのがわかります。

デザインを考えるとき、問題にするのは寸法ではなくて、比率です。バランスを考えるので、そうなるんですけどね。だから、千円札が、広げた状態だと1:2の日本伝統的な縦横比なのはうなずけるとして、3つ折りにしたときに黄金律になるように、そこまで考えてつくられているのは、なかなか優れたデザインだと感心します。

ここで最初の疑問、ご祝儀のお札はなぜ3つに折るのか?ですが、この本の著者は、推論を出してます。
日本のお札の縦横比が1:2になっているのは、この比率が古来から日本人に愛されてきたからだけど、同時に、普段から使われている日常的な雰囲気もあるので、ご祝儀を出すような非日常のハレの場には似合わない。一方で3つに折ったときの1:1.5という比率には西洋的な雰囲気があり、ちょっとオシャレで非日常の場に相応しい雰囲気がした。ご祝儀のお札を3つに折ることが定着していった背景には、こういった理由があるのではないか、と。

この推論自体は、千円札の縦横比と3つに折ったときに黄金比になることを発見すれば自ずと出てくるものでしょうが、3つ折りにしたときに黄金比が現れることを発見したのは、なかなかの着眼点やと思いますな。
そして、きっとそのことを意識して作成したであろう千円札を作成したデザイナー! 誰ですかいな? 完全に脱帽です☆



カエターノでも聴こうと思ったら、カエターノ&ジルベルト・ジルのとんでもない映像が! 『Tropicalia』から30年のときを経て発表された大名盤『2』の、PVですよ。映像も音楽も、ヤバすぎます。脳も下半身も、とろっとろになります♪

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