2005年11月7日月曜日

赤犬とタラフ・トゥ・ハイドゥークス




という、どう考えても両者を同時に好きなファンなどオレと彼女以外にいるとは思えない、オレと彼女のためにブッキングされたとしか思えないようなツーマンのライブに行ってきました!こないだの土曜日の夜。梅田のバナナホール。

どっちも、それほどメジャーとは思えんので、解説をしておきますとですね…、

赤犬は、
極楽エンタテインメントなライブばっかりやってる、まあ、大阪の秘宝館みたいなバンドですわ。ブラス、バイオリンを含む13人編成のビッグ・バン ドで、アイリッシュ、パンク、スカ、ダブ、歌謡曲、ディスコ、スラッシュ、現代音楽など、なんでもありの全方位型ノン・ジャンル・バンドでありまする。情 熱と変態性が過剰なんですが、演奏技術が恐ろしく高くて、単なる変態バンドに終わらんところがすごいんですね。えー年したオッサンが、ブルマ一枚とかグン ゼの白ブリーフ一枚とか、そういう姿で登場しますが。
かつてのジャガタラ、ソウルフラワー、米米クラブ、スカパラ、氣志團…、あのあたりを足して500くらい掛けたようなバンドと思っていただければ…、知らん人には何のことやらさっぱりわからんやろな。
とにかく、技術は恐ろしく高いけれど、変態なバンドなのですよ。

で、タラフ。
こっちはですね、ルーマニアからやって来たジプシー楽団で、平均年齢は、たぶん、60歳くらいかと。じじいばっかりです。
昨今、ちょっとしたブームになってる、ジプシー・ミュージックの先頭を走ってるバンドですな。
バイオリンとアコーディオンに、ポータブルな琴みたいなリズム楽器と、ウッドベースの編成。こっちも、ある意味変態で、とにかく、人間業とは思え んような速弾きなんですよ、みんな。しかも、死ぬほど技術がしっかりしてる。元XジャパンのYoshikiの比ではありません。Yoshikiよ、世界は 広いぞ!

とにかく、この両バンドがジョイントすること自体に無理があると思うのですが、はたして、どんな客層になることやら…

と思って、バナナホールにいそいそと足を運んだんですが、やっぱ、タラフのファンと思われる層が圧倒的に多くて。だって、アレグリアとかに来てそ うな、ハイソなオッサンとオバハンばっかりやねんもん。もしくは、ワールドミュージック好きなおとなしめのにいちゃんとかねーちゃん。あるいは学者とか。 それと在阪のルーマニア人?
そーゆー人がですね、赤犬のステージを見て、どういう反応をするか、逆に赤犬は、どういうステージを展開するのか。見どころは、はっきり言ってそこです!

赤犬は、タラフを意識して、「オレたちもワールドミュージックなんです、ジャンルは堂山!(バナナホールがあるところです。ゲイのメッカでもありまして、バナナホールという名称は、そこからついてます)」とか叫んでましたが、いやー、きつかったですな。
最前列こそ赤犬の追っかけで軽いモッシュ状態になってましたが、で、オレは、そのモッシュのなかに飛び込んでましたが、そもそもがスタンディングじゃない、椅子が出てる会場でライブをやること自体、赤犬は初めてのはずで。
オカマの歌とか借金まみれの歌とか貧乏人の歌とかを、スカやらアイリッシュやら河内音頭のたしかな演奏に乗せてやってましたが、いかんせん、ブル マに白ブリーフに土方のオッサンに酒屋のオッサンにホストに、そんな格好ばっかりなんで、最前列のモッシュ以外は、会場の反応ゼロ!いやいや、すごいライ ブでした。えーもん見させてもらいました。

そういう冷えきった場の空気のなか、続いて、タラフ。
みなさんお待ちかねのタラフです。
みなさん、椅子に座って行儀よく聴いてるんですね。
もう、明日死ぬんちゃうか!みたいなおっさんが、人間業とは思えん動きで、バイオリンとアコーディオンを猛スピードで奏でてるんですけどね。
いやいや、こんなもん、踊ってなんぼやと思うんですけど、会場は、クラシックの鑑賞会のように、じっと聴き入る!みたいなノリで。
ところが!です。さすがジプシーというか、さすが年季が入ってるというか、徐々に客が立ちはじめたんですよ。
もう、中盤以降は総立ち状態になってですね。それこそ、普段の赤犬がライブをやってるときのフロア状態になりましたね。いや、すごかったな。
これみてると、赤犬はエンターテイメントとして極上やと思ってたけど、まだまだやな、と、痛感しましたわ。
タラフは、ギミックなしで、純粋にスキルだけでフロアを最高に湧かしてしまいましたから。
最後は、おねーちゃんが何人かフロアからステージに上がって踊るわで、すごいことになってました。
しかも、アンコールも終わってライブが終了して、タラフじじいの面々は楽屋に引っ込むところを、フロアに降りてきて、フロアの最後尾に行って、今度はストリートライブみたいなかんじで、客に囲まれながら、またまたライブですよ。
で、おひねりの嵐!みんな、1000円札とかばんばんわたしてました。つか、タラフのオッサン連中は、おひねりを要求してましたけどね。

というような、わけのわからん、でも、とんでもなく素敵なライブで、土曜の夜を過ごしたのでした。



Taraf de Haidouks / 『Latcho Drom』

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