2006年11月16日木曜日

「記憶のスパイス」


昨日今日と、高山なおみさんの『記憶のスパイス』を読んでおりました。

オレが高山なおみさんの存在知ったとき、彼女は『クウクウ』で腕をふるってらっしゃったのですが、なにせ場所は東京、行くこともなく…。一度は行ってみたかったお店です。
今、独立独歩の料理家になられてますね。

彼女の魅力的なところは、スローライフを実践しながらも都心を離れることもなく、忙しいときは手抜きでいいやん!と、肩肘張らない生活を、送ってるところだと思います。

スローライフだ!ロハスだ!と、そのことに血眼になるような本末転倒な姿をときどき目にしますが、べき論でものごとに取り組むと、やっぱりロクなことはないですね。いかに自分のペースをキープ出来るか。オレは、それしか考えてません。

だから、
正しい/間違ってる
で、生きたいとは、ほとんど思わないんですよね。

それよりも、

好き/嫌い
居心地がいい/居心地が悪い
happy/unhappy
stop!/go!

ってかんじです。

高山なおみさんは、そういう感覚で日々歩いてるように思われるし、その歩く姿が、端正なんです。
端正で凛としているのだけれども、同時に、ダメなところもいっぱいある。そして、そんな自分を受容しつつ、地に足をつけて歩いてる。酔っぱらって大立ちまわり!なんてのもあるし(笑)
そのかんじがね、オレにはとってもキュートに映ります。

上記の本は、全日空の機内誌『翼の王国』に連載された旅行料理エッセイをまとめたものです。
ペルー風オレンジジュースってのがあるんですが、オレンジを絞り器で絞っただけなんですよ。どこがペルー風なのやら(笑)

読んでみればわかるのですが、ペルー風と名付けられているのには、意味があるんです。
彼女の料理は、料理が主役になってない。料理や素材に最大限のリスペクトを払っているのはもちろんなのですが、主役は、あくまで生活なんです。
ペルーでの生活、風景のなかでの、オレンジジュースですから。
生活の風景のなかのひとつとして、料理がある。
だから、彼女のエッセイも、料理が主役になることなく、風景が描かれ、そのなかに料理が登場しているかんじです。あるいは、思考の触媒の役目を、料理が果たしています。

フィッシュマンズやクラムボンを愛していることも、オレにとってはたまらなく素敵です。
ご主人のスイセイさんとのやりとりは、羨ましいくらいに微笑ましいです。

我が家では、彼女の著作はすべて、トイレの書棚に置いてあるのですが(笑)、また1冊増えました。

ブログがこれまたよろしくて。

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