2006年3月16日木曜日

職場放棄ではないのか?





おもしろい話がないときは、社会に物申す!ネタを多用しているオレですが、精神衛生上よろしくないので、あまりやりたくはないんです。というよりも、精神衛生がよろしくないから、そんなことをやっているのかもしれませんが…。

精神衛生がよくないときは、社会ネタに敏感に反応するような気がします。最近の自分の書いた日記を振り返ってみて…。

で、ぼちぼち、楽しい話でも書きたいなと思っていたのですが、昨晩のニュースを見ていて、そんな気分でもなくなりました。なんか、まったくの他人の話なのに、ひっさしぶりに頭に来ましたね。

山口の母子殺害事件の上告審、被告弁護人の欠席で弁論延期。

なんですか、これは!

山口県の光市で1999年に母子が殺害された事件、犯人が未成年だったこともあって、1審は無期懲役、2審も無期懲役。到底納得出来ないご遺族が最高裁まで上告して、通常、最高裁では開かれない弁論が開かれることになって、やっとその日ですよ。で、被告の弁護人が欠席?

欠席の理由は、公務のため。
公務って、日弁連の講習ですよ。裁判員制度に向けての説明会だか講習だか、そんなの。
弁護士の本来の仕事は、裁判に出席して、依頼人のために弁論を行なうことでしょう。それを、欠席?
しかも、欠席の理由書を法廷に提出したのが、裁判の前日ですよ。
ちなみに、弁護士というのは普通の常識とはなぜか違っていて、裁判期日の1時間前に平気で欠席届を出したりしますけれど、そういうことをしてもいい場面ではないはずです、これは。
そもそも、これほどの裁判なら、被告弁護人は1人ではなく、弁護団を結成していると思うのですが、団長の弁護士が来られないのら、べつの弁護士が出廷すればいいだけのことです。

この事件、よく覚えています。

学生結婚で遠距離恋愛だった2人が結婚して、子供が出来て、結婚式をしてないものだから記念写真を撮ったんですよね。でも、その写真を見ることなく、母子は、18歳のバカに強姦され、殺されたんです。
当時22歳だったご主人は、とてもしっかりした方でした。
犯人には死刑を求める、と。
もし、司法の手で殺してくれないのなら、自らの手で殺します、とまで言いました。
そうした私怨の連鎖を起さないためにも刑法というものが存在し、国家が罪人に対して罪を課すものだとは思うのですが、このご主人の気持ちはとても理解出来るし、そうした心情を勇気を持って吐き出した姿に、オレはすごく同情しました。

その後、彼はメディアにも注文をつけました。
強姦という言葉を使わずにメディアは報道していますが、犯人が犯した罪を軽くしてしまいかねない報道はやめていただきたい。きちんと、強姦と報道してほしい。それで妻が穢されるとは、微塵も思っていない。
彼はそう言ったのですが、強い人だな、と思いましたよ。どんな場面でも、正しいと思ったことを正しいと言える、とても強い人が、強い絆で家族をつくろうとしたいたのだな、と思いました。

母子の遺影を持参して法廷を傍聴しようとし、裁判所から傍聴を拒否されもしました。
そして、少年法の規定により、犯人の最高刑が事実上は無期懲役であることを知り、前例を超えた判決、つまり死刑を求めて、彼は控訴、上告し続けました。

彼は、彼の信じる正しきことを行なおうとして、司法や国家の壁にぶつかり、司法や国家ってなんだ?と考えるようになり、今現在、私怨を超えて、公のために闘っていますね。
彼は、犯罪被害者の会に参加し、加害者の人権が尊重されることに比して、被害者の人権は軽んじられていることを、司法や国家に向けて訴えています。

私怨に端を発した思いを、公のための活動にまで昇華させているんです。とても出来ることじゃないですよ。頭が下がるような思いです。

これまでの1審、2審での判決は無期懲役。
被告の弁護士は、その判決が出て、ガッツポーズをしてましたね。
被告は拘置所から友人に宛てた手紙に、7年我慢すりゃ出られる、男が女とセックスしたいのは生きものなんだからあたりまえ、遺族は調子に乗ってるな、などと、数々の耳を疑うような無反省で傍若無人な言葉を書き連ねています。
少年法の精神は更生にありますから、こんなバカでも死刑には出来ません。だから、裁判所が出したこれまでの判決は、妥当な判決です。少なくとも、非難されるような判決じゃない。

ご遺族のご主人は、妥当の枠を超えた判決を望み、そのために闘い、国家や司法を動かそうとしています。
本当はね、自分の手で犯人を殺したいんですよ。
でも、そうした激情を、なんとか理性で抑え、公の活動にまで、彼は思いを昇華させてるんです。本当に、頭が下がります。
どれほどの理性と、どれほどの意思と、どれほどの勇気を振り絞ってきたことか。

そうやって、7年という歳月を費やして闘ってきた果てに、最高裁まで行ったんです。
しかも、最高裁は通常は書面の精読しかしないんですが、弁論が開かれるところまで、彼は最高裁を動かしたんです。
それをですよ、被告弁護人が、欠席。欠席の理由が、日弁連の活動と重なったため。
こんなバカな話があっていいんですか。

これまでの判決は、法律を逸脱せず、妥当な判断に基づく妥当な判決だったので、この裁判が最高裁まで行く事自体が異例です。それこそ、ご遺族のご主人が必死になって闘って勝ち取った結果です。
このケースで最高裁まで行ったのだから、高裁の判決を破棄して、再審理の可能性があります。
それを察知した被告弁護側が、改めて、弁護士を選任し直しました。人権派で死刑廃止論の第一人者と言われている弁護士だそうです。
欠席の本当の理由は、裁判の遅延でしょう。
新たに選出された弁護人が記録を精査して事実を究明するのには、それなりに長い時間がかかります。さらに、この事件を担当している最高裁裁判長は5月で定年退職です。
弁論を5月以降にまで遅延させることが出来たら、新しい弁護人が記録を精査する時間もたっぷりとれるし、新しい裁判長は、今回の事件を受理した裁判長とは違う考えの持ち主かもしれません。
それを狙っての、遅延です。そうとしか考えられません。

オレは、死刑は廃止にすべきだと思っている人間ですよ。
殺人を仕事とする公務員が存在していいとは思えないし、死刑制度を廃止して終身刑を新たにつくればいいと思っています。

でも、そのことと今回のことはまったく関係ない。
激情を強靭な理性で抑え込み、私怨を公のための活動にまで高めて、どれほどかわからないほどの勇気と意思を持って国家と司法を相手に闘っている人間に対して、これほど屈辱的な小手先のやりかたで対峙するような弁護士に、弁護士を名乗る資格なんて毛頭ないと思いますよ。ただちに、弁護士資格を剥奪するべきだと思います。

この弁護士の実名をここで書こうと思い、ネットのニュースサイトを巡回してみましたが、すでにニュース自体が更新されてどこにもないですね。
なんだかやるせないです。

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