2005年12月13日火曜日

枯れない情熱





三浦カズが、今晩、シドニーFCの一員として世界クラブ選手権に出場しました。
もうね、それだけで涙が出そうになりましたよ。
京都パープルサンガでは屈辱のゼロ円査定を提示され、ヴィッセル神戸では主将の座を追われ、ベンチ入りメンバーからも外され、J2の横浜FC移籍。
しかし、どれほどの辛酸を舐めようとも、彼は這い上がって来ます。
今回、彼は、シドニーFCから、世界クラブ選手権で闘うためだけに期間限定のレンタル移籍をオファーされ、日本人プレイヤーでは初めて世界クラブ選手権のピッチに立ちました。
現在、彼は、38歳です。普通なら、とうの昔に現役を退いていてもおかしくはない年齢です。ましてや、かつては日本のトップに君臨した、スーパースターです。
その彼がね、請われればどんな場所ででもサッカーをする。

「どこもクラブが雇ってくれなくなるときが必ず来る。それが現役生活の終わりだと思ったらそうだろうけど、サッカーはどんなところでもずっと続けられるじゃない。プロじゃなくてもいいんだから。プロサッカープレイヤーでなく、サッカープレイヤーとして」

彼は、インタビューで、そんなふうに語っています。
華々しいうちに現役を引退して、指導者や解説者になるよりも、どうしようもなくサッカーが好きで、サッカーをプレイしたいんだろうな。見栄も外聞も世間体も、サッカーをしたい!という気持ちに比べたら、屁みたいなものなんだろうな。

オレは大好きですよ、カズが。


似たような人に、ボブ・ディランがいます。
現在、64歳です。デビューアルバムの『ボブ・ディラン』を発表してから、44年になります。
このクラスになると、ワールドレベルのコンサートツアーが数年に1回、アルバムも数年に1回、なんてペースになることが一般的ですが、彼は、年がら年中いろんな場所でコンサートを行っているし、アルバムも、2年に1枚くらいの割合で出ているような気がします。
あるとき、誰かが、ボブ・ディランに質問しました。
「あなたのツアーはえんえんと続いているが、いつまでやるのか?」
と。
ボブの答えは、こうです。
「私は歌手です。歌手は歌うことが仕事なのだから、歌えと言われれば、私はいつまででも歌います。あなたがいつまででも仕事をするのとおなじようにね」
と。

情熱が枯れない。
才能ある人の、才能の中身とはこういうことなのだと、オレは、思っています。


今晩は、三浦カズ選手の姿に涙しながら、ボブ・ディランの古いアルバムを聴いています。




Bob Dylan / 『Forever Young』

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