2005年12月1日木曜日

たぶん、二度と行かないカフェ

束の間の、ボーッと出来る月初。

神社の境内で寝るのにはちょっと寒いので、前から気になっているカフェへ。

そこは、
地元の日本一長い商店街の中腹あたり、あるのかないのかわからんような路地を入っていった先にある、これまたあるのかないのかわからんような店なのです。

1階がレトロ雑貨屋で、ブリキのオモチャやら古いLPやらが足の踏み場がないほどに置かれていて、これが堀江やら神戸やらのお洒落スポットにあればそれなりにお洒落な雑貨に見えてくるのだろうが、いかんせん、ここは天神橋筋商店街。はっきり言って、ただのガラクタにしか見えません。

南極に冷蔵庫を売りにいっても売れんのとおなじで、…ん? 南極で冷蔵庫は保温庫として売れるんやったけ?

ま、なんにしても、商売は場所を考えんとね。

いや、そんな話ではなくて、その、あるのかないのかわからんレトロ雑貨屋の2階、それも、普通に家にあるような階段をトコトコと昇っていくとですね、これまた、普通に家にあるような4畳半の間が。つか、この建物全体が、普通に民家。それも、町屋とか茅葺きとかの文化財的価値のある民家ではなくて、普通に、古い、ボロい、民家。
壁とかが聚落塗りの、触ればボロボロとこぼれてくるような、もはや耐震性とも強度とも無縁の、ボロ民家。

窓の前に板が置いてあるだけの、2人しか座れんカウンターと、使い古した応接セット(これも2人仕様)があるだけの、本気で、やる気なんか絶対にないやろ〜、ってかんじです。

壁には、定番であるかのように、ボンカレーの古いポスターが貼ってあったり、観光地の三角のペナントが貼ってあったりするんやけど、それが、狙ってるのか狙ってないのかわからんところが、ちょっとすごかったりします。

メニューは、いわゆるレトロ喫茶の定番ものばっかり。カフェオレじゃなくて、カフェオーレ、とか。ミックスジュースにレモンスカッシュあたりが限界のメニュー構成です。(レモンスカッシュじゃなくて、レスカって書いてあったところで、笑いをこらえるのに必死でした☆)

サニーデイサービスの曽我部クンとかが好きそうな店といえば、わかる人にはわかるかも。

それにしても、マックス4人、マックス2組の店内というのは、おそろしく居心地が悪いですな。4畳半程度のスペースやから、余計に。
話し声が自然と小さくなり、ひそひそ声になり、無言になり、おそろしく居心地の悪い空気が流れます。

で、店のおばちゃんの声だけが、やたらにでかく響きわたるんですね。しかも、このおばちゃんがよく喋る。
客に話しかけて喋るだけならまだしも、店で電話で喋る!それもかかってきた電話ではなくて、自分からかけた電話で!世間話を!近況を!

かような店なのですが、ひとつだけ、好感が持てるところがありました。(人の長所を見つけて、そこを見るのは、ストレスを溜めん秘訣ですな)

それは、キャロル・キングの『タペストリー』を流していたこと。
20世紀を代表する名盤中の名盤で、オールタイムで聴けるこのアルバムは偉大でしたね。

こんな店でも、ちょっとは素敵に変えてしまうマジックを持ってるみたい。
ボンカレーが美味そうに見えてくるし。
観光地ペナントがシブく見えてくるし。
茶色に変色したガラスの重厚な四角い灰皿が、由緒ある品に見えてくるし。

まあ、でも、店の外に一歩出るとマジックも消えてしまうわけで。

たぶん、2度と行かんやろな。
持っていった本は、数ページ進むも、ちっとも頭に入りませんでした。

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