2007年8月10日金曜日

奈良旅1 燈花会編

なにやらあちこちで書かれてしまっているし、それもあってこないだ自ら白状しましたが、マイミクさんのgoutさんからオファーがあって、goutさんの経営するおペンション、基、小さなホテル『奈良倶楽部』のサイトをリニューアルしていたのでした。


このお話は以前にも書いたので繰り返さないとして…。
お世辞込みでサイトを褒めてくださる方が多いのですが、サイトをご覧になって、奈良倶楽部って素敵な宿だな、と思われたのなら、それはサイトの出来がいいんじゃなくて、奈良倶楽部が素敵だってことですから。サイトにかぎらず、広告・広報の役割というのは、その商品やサービスの魅力を的確に伝える、それに尽きます。

で、サイトを完成させて納品したのが、先月の末。

そしたら、です。なんと、goutさんから、お礼かたがたが、相方さんを連れて奈良倶楽部へお泊まりにいらっしゃい!と、ご招待を受けたのでした。
いや、なにもボランティアでサイトをつくったわけではなく、ちゃんとお仕事として儲けさせていただいたわけだし、それこそお世話になったのはオレのほうなのだから、オレこそなにかお礼をしなければならないのですが、なんと、逆にご招待を受けてしまったのでした。それも、相方さんまで一緒に。
相方さんまでご一緒に、というところがね、goutさんの太っ腹なところといいますか、上手いこと気を使いはるなあ、と、僭越ながら感心した次第で。

そんなわけで、この火曜と水曜、行ってきましたですよ、奈良に☆

7月はバカみたいに忙しくて相方さんを放置プレイ状態にしていたし、おかげさんで、ちょうどいい罪滅ぼしも出来ました。

それよりもなによりも、じつは今回、goutさんのおかげで、奈良の素晴らしさを知ってしまって、京都だけじゃなくて、これからは奈良も巡る!って気分になっていたのですよ。なので、それはそれは素敵な旅になりました。


goutさんのお宿って、奈良のきたまちというところにあります。
近鉄の奈良駅から奈良公園を抜けて、東大寺の大仏、正倉院を抜けた、その裏手にあります。
奈良の主な観光スポットを巡るのにとってもアクセスのいい場所にあるんですが、その魅力よりも、自然の風景や、気取りのない町並みにあって、その、気取りのなさに囲まれている環境がね、素晴らしいですわ。
なにげに、古くからの伝統的な仕事をされているお店があったり、素敵なお寺さんがあったり、ちょっと歩けば自然が満喫出来る道があったり…、でもそれは、なにかの意志が働いて誰かが大号令をかけてそうなっているのではなくて、おおむかしから、そのような佇まいであるかのような、あっさりとした構えなのですね。
そのあたり、つくり込みの美学を強烈に感じさせる京都と比べると、似て非なるもの、というよりも、真逆の感性を感じさせます。
そして、それがまた、京都ずれしたオレにとっては、とっても新鮮なのでした。

観光地なんだけれども、風景に企みがないんですね。
奈良倶楽部というお宿も、じつはそういうお宿で、おしつけがましさや、企みのようなものがない。
いや、じつは、企みの塊というか、お客へのもてなしかたには、それはそれは細やかな気配りがあるんですが、そういうことを、まるで感じさせない、気持ちのいいお宿です。

古くからの伝統的な商売をされているところも数多く残されていて、そうしたところは、実際の仕事場などを見学することも出来ます。

これは、奥野傘店と向出醤油店。
お醤油が美味しそうです☆




そういう町を、バスで駆け抜け、ぶらぶら歩いて、奈良倶楽部へ向かいました。
相方さんはすでに到着していて、自分にそっくりの顔をしているという興福寺の阿修羅像と対面したり、なぜか奈良まで来てカイロプラティックに出かけたりと、すでにあちこちまわっているみたいです。

あ、相方さんの興福寺阿修羅像ご対面日記は、こちら

オレが到着したときには、カイロプラティックに出かけていて、オレは、たまたまいらっしゃったgoutさんのお友だちと、しばし談笑。
そのお友だち、お話していると、かなりの音楽通でして、なんと、タラフ・ドゥ・ハイドゥークスの大ファンだということが判明☆
ロマの音楽ですよ! ルーマニアのジプシー楽団ですよ! 奈良で偶然居合わせた人と、そんなマニアックなバンドの話で盛り上がれるなんて、望外の幸せです(笑)

さて、相方さんもカイロプラティックスから戻り、心なしか足のむくみもとれた模様で、すっきりした顔。
で、本日のメインイベント、燈花会へと出かけたのでした。

燈花会
まだ10年足らずの若い行事ですが、すでに奈良の夏の風物詩として、すっかり定着している行事です。
じつは、オレにとっての奈良というのは、この、燈花会だけでして、考えてみたら、これだけは、毎年毎年行ってます。もう、5、6年は行ってますわ。




これね、奈良公園一帯とその周辺の広大な敷地を、ろうそくで埋め尽くすんです。
階段に、道の両脇に、緑の芝生に、池の縁に、川のほとりに、全部で20000本はあるのかな。そういう数のろうそくをね、ひとつひとつ置いていって、火を灯すんです。
暗闇のなかに浮かび上がるろうそくの火が、やわらかくてね。

闇のなかに火が灯ると、闇の濃さが強調されます。闇は、より深い闇になります。
でもね、灯されるろうそくの火がやわらかいので、闇もまた、やわらかい闇になるのですね。
それがまた、心地いい。

もう少しあとで書きますが、じつは、奈良の闇は、都会の闇と違って、やわらかで、暖かい闇です。

考えてみれば、オレが住む大阪には、闇がありません。
昼となく夜となく、そこにあるのは、光だけです。光は闇がなければ存在し得ないはずなのに、大阪にあるのは、闇を失ったなにものかが、そこにあるきりです。
そうした不健康さが好きで、またそうした不健康ななにかを抱えていると知っているからこそ、オレは大阪に住んでいるのだけれども、それでも、こういう闇と光に触れると、自分のなかにある不純物が、少しではあるけれども、濾過されるような、心が少し軽くなるような気がします。
きっと、そういうものを求めて、オレは、毎年、この燈花会に出向くのかもしれません。

燈花会の会場は、広大です。
ひろびろとした平地に花畑を描いたような浮雲園地、竹でつくったオブジェが周りの木々の陰影を際立たせる浅芽ヶ原、鷺池の真ん中に浮かび上がる浮見堂はろうそくの灯りによって水面に映し出されて、より一層幻想的になります。
その他、猿沢池、興福寺、国立博物館前…、ひとつずつを歩いてまわれば1時間以上はかかる広大な面積を、ろうそくの火が灯ります。
その、火と火の合間を、鹿が縫うように歩いています。

水ろうそくを浮かべたカップを、毎日置いて、点火して、時間がくれば火を消して片付けます。それが、約20000本。
この、気が遠くなるような作業が、燈花会の期間中、毎日、行われています。
この時期は、当然のように夕立が降るし、雨ならもちろん中止なのだけれども、オレはまだ雨で中止の憂き目に遭ったことがありません。

屋台でベビーカステラを買ってガッツポーズする相方さん☆
階段、小径…、いろんなところでろうそくの灯が揺れています。
猿沢池でラムネを買ってガッツボーズの相方さん☆







ふう、奈良旅、まだはじまったばかりだけれども、書いていて、もうこんな時間。
このあと、翌日の夜まで、書くことはぎっしりとあります。

続きは、また明日。

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