2007年8月12日日曜日

奈良旅3 東大寺界隈編

奈良旅も書くことがたくさんありすぎて、たかだか1泊2日のものが、日記はすでに3個目(笑)

奈良倶楽部の朝は、早いです。
8時から朝食がはじまるのですね。休みの日に遊びにきて朝から起きるのはちょっと、と、思わないでもないんですが、ほら、奈良巡りするために来たんだし、それに、お寺さんは、じつは午前中に訪れるのが一番気持ちがいいんですよね。

なので、強制的に早起きさせられるのは、じつは好都合だったりします(笑)

オレなんて、朝7時には起きてしまいましたよ☆
でも、相方さんは、グーグー寝てましたな。揺すっても殴っても蹴っても、起きません(笑)
彼女の得意技は二度寝ですから、起きたとしても、その後、ちゃんと起き続けるかどうか怪しいんですよね。だから、オレは早く部屋を出て新聞なんぞを読みたいのですが、相方さんが、ちゃんと完璧に目覚めてシャワーを浴びたり着替えをしたりするまでは、油断出来ません。
ったく、普段、朝早くに仕事に出かけてるくせに、どーしてるんでしょうか?(笑)

奈良倶楽部の朝食は、豪華です。
スペインオムレツなのですが、ジャガイモなんかに混じって、カボチャが入っていて、とっても美味しいです。カリカリのベーコンがついて、フルーツ(梨! 今年初です☆)がついて、美味しいパンがついて、フレッシュジュースがついて、コーヒーか紅茶がつく。
朝から豪華で楽しい朝食です。
ちなみに、相方さん、パンをおかわりしてました(笑)
彼女は、オレのおまけでタダで招待されている身分なんですけれどもね…。

あ、この朝食は、goutさんのご主人がつくられているのだとか。
はっきり言って、メチャ美味いです☆

さて、朝食も終え、いよいよチェックアウト、奈良散策に出発。
goutさんには、なにからなにまで、本当にお世話になりました。
聞けば、前日、オレが奈良入りする前のお昼どき、相方さんはgoutさんにお昼ご飯をごちそうになっていたのでした。しかも、goutさんのご飯まで奪って食べたんだとか! 一体全体、あの人はなにを考えているんでしょうか?(笑)

さてさて、そんな名残の奈良倶楽部をあとにして、まず向かった先は、奈良倶楽部から3軒ほど隣の、五劫院。

ここについては、goutさんがはじめられたブログ『奈良倶楽部通信』に詳しいことが書かれています。


見所は、なんといっても、アフロヘアの大仏(笑)
お寺さんの名前が示すとおり、ご本尊は、五劫思惟阿弥陀仏ですわ。
ざくっと言いますと、人々を救おうと、お釈迦さんはひたすら考え、悩み、修行をしていたわけです。剃髪したはずの髪の毛がアフロになっちゃうくらいに。
そういう、時間の長さが、この仏さんでは表現されています。
「劫」というのは、3年に一度天女が降りてきて、石を撫で、その石が擦り減るまでの時間を言います。それが×5(笑) どんだけ長い時間か、っちゅーことですよ。よくアフロ程度の髪の伸びですんでるってもんです。
普段は非公開で、特別な日か事前に予約をするかしないとご開帳されないのですが、この日、たまたま公開されていて、そのご尊顔、基、アフロヘアを拝むことが出来て、非常にラッキー☆

境内そのものは、いつでも拝観自由で、たとえ仏さんを拝むことが出来なくても、境内だけでも見る価値はあります。
非常に枝振りのスタイリッシュな松が植えられておりましてですね、こいつを見るだけでも価値はあります。
本堂のフォルムもそうなのですが、まるで禅寺を思わせるような、端正な趣があります。もちろん、奈良にあるお寺さんは、禅が日本に輸入される以前のお寺さんがほとんどですから、五劫院も東大寺の末寺ですから、華厳宗のお寺さんということになります。
でも、本堂も山門も、奈良時代のフォルムじゃなくて、鎌倉っぽい印象がすごくあって、ちょっと調べてみたら、江戸時代に再建されてますね。きっと、そのときの美意識が取り入れられているはずです。もしかしたら、浄土宗も取り込んでいるかもしれません。


次に向かった先は、正倉院。
あの、歴史の教科書の最初のほうに出てくる、正倉院です。校倉造りの、日本最古の部類に入る建造物。
毎年秋には正倉院展が開催されますが、あれは、会場は国立博物館で、正倉院の建物とはべつの場所で開催されるもの。だから、なかに収めてあった宝物はたくさん見てきましたが、正倉院そのものを見ることは、なかったんですね。

ここは、正倉院です。
まさに、教科書に載ってる通り!
校倉造りの、日本でもっとも古い部類の、木造建築です。
毎年秋に行われる正倉院展は、このなかに眠っていた宝物からピックアップして展示されています。
それにしても、ため息が出るほど美しいフォルムです。


これがね、教科書なんかで見て知っているとはいえ、やっぱ、現物を目にすると、とんでもなかったですよ。正面から見て横長の建造物なのですが、左右33.1m、奥行き9.3m。そして、床下の柱の高さが2.5mです。
この、2.5mの床下の柱の上に、三角柱に加工した木材を組木のように重ねていって、ログハウスのようにつくってあるわけです。
そのフォルムが、とんでもなく美しいです。
まさにね、威風堂々。
現代で、こんなにも威風堂々とした建物って、なかなか拝めませんよ。

宮内庁が公開している公式ホームページはこちら。


でも、このサイトは、建物よりも中身の宝物に焦点が絞られていて、建造物に関する記述はさっぱりですが。
そりゃ、遠くペルシャからシルクロードをわたってやって来た宝物を中心に、当時の日本のありとあらゆる技術を結晶させた工芸品がわんさとあるのだから、そちらに焦点が行くのも無理ならぬことですが、この建造物は、もっと注目されてもいいはずです。

異彩を放つことで威容を誇る建造物はたくさんありますが、これほど端正でありながら威風堂々とし、見るものを圧倒する建造物は、まず見たことがありません。ましてや、奈良時代! どんだけ、日本人の美意識が素晴らしかったか、ということです。

その正倉院をあとにして向かった先は、東大寺大仏殿の裏にある、講堂跡。
ここはgoutさんのおすすめの場所でもありまして、初めて連れていってもらったとき、というよりも、goutさんの日記で紹介されたのを拝見したとき、その時点で、オレのお気に入りの場所になったところでもあります(笑)




奈良といえば、大仏さん。その大仏さんが祀られている大仏殿には多くの人が訪れるし、オレも何度か行ったことがありますが、その裏手に、こんなにも素敵な場所があるなんて、全然知りませんでした。
大仏殿の裏には、広大なスペースがあり、一面芝生。そのなかを、鹿が群れをなして戯れています。
そして、この場所を訪れる人は、まばら。
芝生に寝っ転がりながら、鹿を眺めつつ昼寝☆
羊好きの相方さんは、鹿が群れなしているのを見て、羊とおんなじ匂いがする~!と、ご機嫌です。
遠くに、サルスベリが鮮やかな花をつけていて、風雅な風景とはこのことですよ。
そういえば、奈良にはサルスベリの木がたくさんありますね。なんでなんだろうか。京都だと詩仙堂に1本あるのくらいしか思いつかないし、大阪だと扇町公園に植えてある程度。でも、奈良には、サルスベリの木が、いたるところにあります。今、鮮やかなピンクの花をつけて、一番いい季節ですね。



気持ちのいい芝生があって、大仏殿を遠目に眺められて、鹿が群れなして戯れていて、なおかつ人影はまばら。言うことなしじゃないですか☆

奈良のお寺さんは、そのほとんどが官製のお寺さんなので、都市計画をきちっとやったうえで、たっぷりとしたスペースを与えられています。
だからね、大仏殿の裏に、こんなにも広大なスペースがある。京都のお寺さんは、半分以上が私寺ですから、こんなお金のかけかたは出来ないですね。この違いも、大きいです。

この場所は、本当に気持ちがいい。
時間と法が許すのなら、この場所にテントを張って生活したいくらいです(笑)
ここでフィッシュマンズとかを大音量で聴いたら、きっと最高ですよ☆

それにしても、ここは今ではなにもないとはいえ、かつては講堂があった場所。
講堂といえば、お寺さんの中心的な建物ですが、その講堂が、今の東大寺にはありません。
それでいて、お寺さんとしてちゃんと機能している…。不思議なお寺さんですね。

ただ、東大寺というお寺さんは、それはそれは広大なお寺さんでして、いくつもの塔頭を持つ、大伽藍です。
お水取りで有名な二月堂も、東大寺の塔頭のひとつですね。
そうした塔頭のひとつ、戒壇院へ、オレと相方さんは向かったのでした。
正倉院は東大寺の境内ではないんですが、正倉院も含めて、大仏殿、五劫院、講堂跡、そして次に向かった戒壇院まで、どこまでがお寺さんでどこがそうでないのか、さっぱりわかりません。
ぶらぶらと景色を愛でながら歩いていたら、気がつけば、次の目的地のお寺さんに到着している、そんなかんじ。
その、憤然一体となった風景がね、とても心地いいです。

この戒壇院、山門前にある長い階段といい、枯山水風の庭といい、どうみても禅寺の趣を漂わせているお寺さんです。
でも、本堂の屋根のかたちが、奈良のそれなので、奈良時代のお寺と言われたら、ああそうだな、と納得するしかないような…。
ちなみに、ここは、中国の唐から来朝した鑑真が、戒律を説くために造営されたお寺さんです。
きっと、あちらこちらに、「~べからず」の文句が書かれているんでしょうな。




庭もいいのですが、道内に安置されている四天王像が、素晴らしいです。
ただ、不思議なことに、四天王が守るべき仏さんが、ここにはありません。
それでも、ここに配されている四天王像は、そのすべてが国宝です。
四天王というと、全員が全員怒っているもんですが、ここの四天王は、よく見ると、怒りの表情が、それぞれに違います。持国天と増長天は忿怒の形相で阿吽に対応し、広目天と多聞天は静かに口を閉じ,遥か遠くを見据えるかのようです。このバランスが、かなりいいですね。

こういうものを見ていると、庭は京都だけれども、仏像は奈良!というのを実感しますね。


ふう、これで午前中が終了。
このあと、春日大社に向かい、旅はまだまだ続きます。





UAの新譜が、かなりいいです。UAのアルバムはいつだってとてもいいけれども、今回は、久しぶりに「歌」に帰ってきています。
UAって、出自は沖縄、育ちは大阪だけれども、奈良の雰囲気を持ってますね☆

UA / 『GOLDEN GREEN』

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