2007年8月28日火曜日

視線を向ける先

こないだの、相方さんのモノヅクリ話の続き。

まあ、相方さんの勤めている毛糸屋さんでニットの作品集を出すことになり、相方さんも、そこに載せる作品をせっせとつくってはいたのですが、最終的には全ボツ。

あいだに、相方さんの上司さんが入り、その上司さんが社長に向けてプレゼンをしてくれているらしいのですがね。
で、それがことごとく跳ね返されて、ここをこう直して!だとか、ここがダメ!だとか、まあ、路頭に迷ってはるらしいのですよ。

そして、この上司さん、最後には、社長がなにを求めているのか、わかんない~、って(笑)

ちなみにこの上司さんは、オレはもちろん会ったこともないですが、相方さんから話を聞くかぎり、まあまあモノのわかる人みたいだし、相方さんはじめ、部下からの信頼も厚いらしいのですね。
部下のことをものすごく考えてくれて、部下である相方さんのつくったものがなんとか審査をパスするように、必死で考えてくれてはるみたいです。
で、その結果、社長がなにを求めているかわかんない~!と、なるのですが…。

だから、きっと、いい人なんだと思います。
でも、この話を聞くかぎりだと、ちょっとテンパっていて、見失ってるなあ、と、オレなんかは思ってしまいますね。
オレは、どうしたって、社長の立場で社員を見ますから、じつは、この会社の社長さんの歯痒さのほうが、よくわかったりもします。

まずね、この社長は、自分の求めているモノをつくってほしいとは、これっぽっちも思っていないはずです。
そうではなくて、顧客さんに喜んでもらえるようなモノをつくってくれ、と。そのことを、もっと考えてくれ、と、この社長は言っているはずなのですよ。
もし、オレがこの会社の社長だったら、オレの好みを把握し、オレ個人に気に入られるようなものをつくろうとしてきたら、それがわかったら、オレは、その社員をぶん殴りますけどね。
媚を売る先を、間違えてます。
いや、媚を売る必要なんてさらさらなくて、自社のお客さんが喜んでくれるものってなんだろう、ってことを、もっともっと真剣に考えなければ、ということです。
視線の向かっている先が、社内や社長だなんて、悲しすぎます。

だから、もし、自分が、お客さんのことを考えて、考えて、考え抜いてつくったものをボツにされたのなら、それは、社長に怒鳴り込んでいけばいい。社長よりもオレのほうがお客さんのことをよく知っているし、よく考えています!と、言えばいい。
それを言う自信のないものなら、ボツにされて当然です。

モノヅクリも商売だし、商売である以上、視線は、必ず、お客さんのほうを向いていなければなりません。
お客さんがいなければ商売など成り立たないのだから、これは、あたりまえのことなんですけれどもね。

でも、ときどき、そのあたりまえのことを、オレもですが、人は外しがちですね。
気がつけば、上司に認められようとすることだけを考えている自分がいる。
気がつけば、社内の人事にばかり眼を向けて、あの人はここがダメでこの人はこんなポストの器じゃないとか、そんなことばっかり言ってる自分がいる。
あいつにだけは負けたくないと、無用の競争心を焚きつけている自分がいる。

勢いのある会社、世間の評価の高い会社の社員は、どこも、仕事の話ばっかりしてますよ。
飲みにいって、オレのお客さんは今こういう課題を抱えていて、オレはこういう提案をしているんだけれども、もっといい方法はないかな、とか、そんな話ばっかりしてます。
仕事が楽しくて仕方がないんでしょうね。お客さんが喜んでくれる顔を見るのが、楽しくて仕方がないんでしょうね。
そういう人たちは、社内のゴタゴタや人事に関心がないですよ。それよりも、仕事のことやお客さんのことを考えているほうが、全然楽しい☆
そういう人たちと付き合うのは、楽しいですよ。

お客さんが喜んでくれる顔だけが、商売におけるモノヅクリの原動力になります。
その顔をいっぱい持っている人は、社内で、社長に、評価されます。
社長が求めているモノって、そういうものですよ。
そうじゃない会社って、潰れますからね。
社会が必要としない会社には、誰もゼニを落とさないから、売り上げが立ちません。
売り上げが立たないということは、裏を返せば、誰かが喜んでくれるものを提供していない、ということです。
売り上げが立たずに潰れる会社というのは、だから、社会から必要とされていないということです。
市場経済の世のなかでは、そういうことになってますから。

もっとも、お客さんのためになるからと、不当に値引きをしたり、不当にサービスするなんてのは、全然違っててね。
商売上の売り手と買い手のやりとりは、お互いが相思相愛で、お互いがハッピーになることなので、どちらかにシーソーが傾いてもダメなのですね。
あなたが喜んでくれることで、私はハッピーになる。この、両方がハッピーになるのが、商売ですから。

そして、この、あなたとは、お客さんにほかなりません。

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