2007年8月11日土曜日

奈良旅2 柔らかい闇編




奈良旅の続き。

燈花会でほのぼのした気分になり(じつは携帯を奈良倶楽部に忘れてきてしまい、それに気づかずに落としたと思って、周囲を慌てさせたりもしましたが…)、次に向かった先は、あ、そのまえに、燈花会に行くまえに、goutさんに晩ご飯をごちそうになったのでした。

一応、スペインのバール風なのですが、南欧料理全般をカバーしているお店。(お店の名前を全然覚えてません。涙。でも、場所は覚えてる…)
奈良公園のすぐ近くにあって、前の道をよく通っているはずなのだけれども、全然気がつきませんでした。


以前、goutさんに連れていっていただいた「クルミの木」もそうなのだけれども、京都あたりによくあるカフェ&ダイニングに佇まいはよく似ているのだけれども、広さが決定的に違っていて、その広さゆえに、京都のそれとは雰囲気が決定的に違いますね。
このあたり、奈良と京都の違いがよく出ていて面白いです。
京都は、その狭さゆえに、箱庭的なチマチマした魅力があります。洗練に洗練を重ねなければ成り立たないような、スペースの使いかたを、します。
翻って奈良は、その雄大さが、ひとつの魅力になっています。その雄大さゆえに、気取る必要がなく、企てる必要がない、という気がします。

さて、燈花会を経て、オレと相方さんとgoutさんが向かった先は、ならまちのとある屋台というか、オン・ザ・ロード・酒場(笑)
なんと、goutさんは、ぱなぬふぁさんとの出会いをセッティングしていてくれたのでした。

ぱなぬふぁさんは、オレの古いマイミクさんで、今や、一番古い部類に入るマイミクさんです。
おたがい、音楽の趣味が幅広く、そのなかには、重なる部分も多いのですね。おたがい、会うということにがっついたところがないから、近隣に住みながらも、おたがいにリアルで会うということがなく、これまでやってきました。日記でのコメントもおたがいにつかず離れずだけれども、そのぶん、振り返ってみると長い付き合いをしてきた、オレの大切なマイミクさんです。
goutさんとマイミクさんになったとき、奈良在住ということと、似たような匂いを感じるから、ということで、goutさんにぱなぬふぁさんを紹介したのでした。
今では、オレよりも全然仲良くされているgoutさんとぱなぬふぁさんだけれども、今回、初めてお会いすることが出来ました。

酒飲みらしく、早々に燈花会を退散して酒宴をされていたぱなぬふぁさんがいらっしゃったのは、ならまちのとある、オン・ザ・ロード・酒場(笑)

なんでも、燈花会のときだけ、ゲリラ的に出没する酒場でして、道ばたにテーブルとイスを広げてます。
なりは即席だけれども、日替わりで厨房に入るシェフは、どの人も皆腕っこきの人たちで、なんだかしらなけれども、美味しいものをたくさん、安い値段で食べられましたですよ☆

ぱなぬふぁさんは、フォークロアな布がかわいいオレ好みの帽子を被ってらっしゃって、キリッとした刺繍が素敵なスモッグを着てらっしゃいました。その雰囲気が、日記から受ける印象通りで、なんだかほのぼのとしてしまいましたよ。
日記だと端正なタッチで淡々と言葉を紡いでらっしゃるのですが、お会いしてみると、すごく饒舌で。
でも、お酒が入って、楽しい酒宴だったので、普段よりも何倍も饒舌になってしまったんだとか。

オレは今でこそ天満界隈から一歩も出ないような生活をしていますが、数年前までは、根城は大阪ミナミでした。
ミナミは、わりとゲリラ屋台が盛んで、夏になると、道ばたにテーブルとイスを広げて酒宴!ってパターンは、しょっちゅうなんですね。そこにはなぜか腕っこきのシェフが必ずひとりは混じっていて、お店で食べたら目が飛び出るような値段のものが、こういう場所ではタダみたいな値段で食べられるのでした。

まさに、そういうかんじのお店。
美味しい料理と、楽しいおしゃべりと、あったかい出会いや交わりと、そしてオレは飲まないけれども美味しいお酒があれば、人は、なんとかかんとか、しのいでいけますな。つらい日々も悲しい出来事も、うっちゃっていけますな。

そこでgoutさんとぱなぬふぁさんに共通の友人がいることがわかったり、ぱなぬふぁさんがオレの出身である維新派が大好きだったことがわかったり、百万遍さんの手作り市に出店していた相方さんを、ぱなぬふぁさんが密かに目撃していたり…、いろんな出会いがあり、いろんなサプライズがあり、いろんな交わりがあった夜でした。

goutさんのアテンドとぱなぬふぁさん(と、素敵な相方さんのフクちゃんさん)との出会いのおかげで、奈良旅1日目の夜は、とーっても素敵なものになりました。

帰り道、夜道を、goutさんとオレと相方さんの3人で、タクシー乗り場まで歩いていたのでした。
燈花会も終わって灯りは消え、人の姿もすっかりなくなっており、商店から漏れる灯りも、そのほとんどが眠りについていました。

大阪にはない、漆黒の闇です。
月明かりをたよりに、若草山や春日山、夜空と、濃淡のある闇を楽しみながら、3人で歩いたのでした。
このときに思ったのですが、奈良の夜の闇は、やわらかいですね。とがったところやぎすぎすしたところが、まったくありません。
京都は平安京の闇は、魑魅魍魎の住む場所として、怖れられもしたものです。現在の鞍馬は暗魔と呼ばれ、闇を操る安倍晴明が活躍しました。
また、今日の闇は、謀議を企てる時空でもありました。幕末の頃、勤王派も佐幕派も、開国論者も鎖国論者も、闇に乗じてなにごとか企て、闇にまぎれて歴史を動かしました。
京の闇は、そういう闇です。

でも、奈良の闇には、そうした、不気味さや不穏な空気、匂いが、ほとんどない。
気持ちのいい、居心地のいい、闇です。
桓武天皇は、なぜ、平城京を捨てて、長岡京を建設し、都を平安京に移したんだろうか?
平安に込められた意味は、きっと、恒久平和を願ってのことだろうから、平城京末期には、騒乱や疫病、天候不順などもあったのだろうけれども、1300年後、この地の闇は、それでも、やわらかであり続けています。

そのようなことを思った夜なのでした。


で、本日は、ぱなぬふぁさんも好きだという、ココロージーを再び。
画像は、相も変わらず燈花会(笑)
と、goutさんに連れていってもらったスペインのバール風レストランを翌日の昼間にパチリと撮った写真。


『Noah's Ark』
Cocorosie

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