2007年8月15日水曜日

奈良旅6 画でもあり詩でもある風景編

さてと、いよいよ1泊2日の奈良旅も、今回の日記にて完結編へ(笑)
クライマックス、東大寺二月堂です。

高畑方面の散策終えたあと、一行は、再び、東大寺を目指したのでした。
午前中に東大寺をうろうろしていたのだから、またか?ってかんじですが、夕方に向かった先は、二月堂です。
ここは、山の中腹にあって、見晴らしがいいんですよね。
で、西を向いているので、陽が沈んでいく奈良市内を一望出来るんです。二月堂に行くなら、夕暮れどき!とのgoutさんの教えにしたがって、ここは夕方までとっておいたのでした。
ただし、さすがにふらふらだったので(そりゃそーだ。1日中、歩いてるもん)、タクシーで(笑)

このあたり、若草山の山麓でして、坂に沿って、二月堂、三月堂、手向山八幡宮の3つの建物が、並んでます。

手向山八幡宮は東大寺を守護している神社ですが、メインは二月堂なので、ちょろっとだけ見て、終わり(笑)
三月堂は、別名、法華堂。東大寺も火事で何度か焼失し、再建されている建物がほとんどですが、この三月堂は、数少ない、奈良時代建築のひとつです。東大寺の前身寺院からある古い建物ですが、メインは二月堂なので、ちょろっとだけ見て、終わり(笑)



さて、二月堂。
お水取りで有名なところで、深夜でも入れる、珍しいというか太っ腹なお寺さんです。
ちょうど、夕暮れどきの7時頃に着いたのですが、西陽が本堂を照らしていて、キレイでしたね。
山の斜面に建っていて、京都の清水寺によく似ています。これで迫り出しの能舞台があれば、まるで清水寺です。そういう、壮大で威厳のあるお寺さん。




最後の最後に、なかなかな階段がありましてね。もう、さすがに疲れきっていたので、這々の体で登ってました(笑) でも、西陽のおかげで長く延びた影が階段に映し出されて、なんだか夏休み感が倍増します(笑)


で、階段を登りきって、本堂から西にひらいた風景に目を転じると…、
絶景ですよ☆
境内の森があり、瓦を葺いた寺院の屋根がいくつも見え、町並みが点のようにそこにあり、はるか西の空に、まさに今、陽が落ちんとして、空を、町を、真っ赤に染めてます。

疲れがね、吹っ飛びましたね。
今日一日歩きまわったのは、この景色のためにあったのか、と。




ずーっとね、この景色を眺めてましたよ。
陽が落ちるまで、空が夕焼けに染まって、やがて瑠璃色になって、瑠璃色から灰色がかった群青色に、時間のグラデーションを楽しみながら、ずーっと、ぼんやりと、この景色を眺めてました。
ゆっくりとゆっくりと時間が流れて、1分が60秒だなんて誰が決めたのか知らないけれども、そんなもん関係なくて、ゆっくりとゆっくりと、悠久の時間が、流れていきました。

画でもあり、詩でもありました。

画は、いつまでもそこに変わることなく、あります。
変わるな、という願いと祈りを込めて、画は、そこに活写されます。
一方で、詩は、定型を持ちません。
時とともに、場所を隔てるにつれて、詩は、美しくも醜くもなり、定型を持ち得ません。

この風景は、刻々と顔貌を変える詩のようでもあり、毎日、変わることなく繰り返される、一幅の画のようでもありました。

これが、奈良なのだな。
ここが、奈良そのものなのだな、と、すとんと納得しました。
またいつか、この風景を見にこよう。
そのためだけにここに来てもいいな、そんなふうに思いました。

見よ今日も
見よ今日も
かの蒼空に
飛行機の高く飛べるかな

啄木の「かの蒼空」の一節が、ふと、心にすうっとよぎったのでした。

以上、今回の奈良旅、全行程の終了です。
奈良倶楽部のgoutさん、お世話になりました☆


円は、閉じました。





写真は、左から
麓から見上げた東大寺二月堂。
東大寺二月堂に向かう階段。西陽を受けて延びた影を写す相方さん。
東大寺二月堂から眺める黄昏どきの奈良市内。

アルバムは例によって、こちら。

http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=21654352&comm_id=1595229&page=all

(全行程)
燈花会(浮雲園地→春日野園地→浅芽ヶ原→浮見堂→猿沢池)→五劫院→正倉院→東大寺講堂跡→戒壇院→奈良県知事公邸→氷室神社→春日大社→ささやきの小径→志賀直哉旧居→新薬師寺→白毫寺→入江泰吉記念奈良市写真美術館→頭塔→手向山八幡宮→三月堂→二月堂→燈花会(県庁前)

あ、明日、番外編をひとつだけ書きます(←まだ終わらん! 笑。)



『A Walk On The Wild Side』
Lou Reed

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