2007年2月8日木曜日

一休寺と浄瑠璃寺

昨日、メチャクチャ天気がよかったので、今年最初の神社仏閣巡りツアーに出かけたのでした。

いや、本当は、数日前から予定していたのだけれども、相方さんは無類の嵐を呼ぶ女。ピンポイントで台風を連れてきたり爆弾低気圧を連れてきたりなので、この日もあんまり期待はしていなかったのですが、な、な、なんと、この冬の暖冬を象徴するかのような、日中の気温15℃のおだやかな日和☆

今年は幸先がいいのか?(笑)

天気がいいので、町中のお寺さんではなく、遠出をしようということになり、かつてより狙っていた、一休寺、浄瑠璃寺へ向かったわけです。


場所は、京都府の端っこのほう、京田辺&木津。
京都というか奈良というか大阪というか、そのあたりの境目にありましてですな、この3県のどの地図を見ても端っこに載っているような、どっからも行きにくい場所にあるんですわ。

でも、このあたり、いいお寺さんが集中していることもあって、まえまえから目をつけてはいたんですよね~。
地図を見ただけでね、インパクトのある名前のお寺さんが多いんですよ。
一休寺、浄瑠璃寺だけじゃなくて、神童寺、蟹満寺、観音寺、禅定寺、海住山寺…、なんか、そそる名前が多いでしょ。

今回は、一休寺、浄瑠璃寺をメインに、残りは行けるところまで行こう、と。
結局、この2つしか行けなかったけれども(笑)

んで、今回は、オレとしたら極めて珍しいのですが、デジカメ持参してみました。
昨年末に新調したデジカメ、じつはまだ一度も出動させてないんですよね。なので、仕事で使うまえに試運転しておこう、ということで。いや~、撮りまくってしまいました(笑)


まずは、一休寺から。

はい。ご想像のとおり、あの一休さんが草庵し、晩年を過ごしたお寺さんです。
梅がキレイですね。



一休さんといえば、反権威主義者であり堺の商売人とも交流を持ち、およそ僧侶らしくない魅力の素敵な人ですが、そうでありながらも、大徳寺の住持にも登りつめた、魅力的な人。
なので、晩年を過ごした山寺である一休寺は、こじんまりとしたお寺さんかなあ、と、勝手に想像していたんですわ。
そしたら、行ってみたら、結構大きな伽藍で。ちょっとビックリしました。



オレの大好きなお寺さん、奈良の秋篠寺に、どことなく雰囲気が似ていて、このお寺、いっぺんで好きになりました☆ でも、しょっちゅう来るには遠すぎるんですけどね。。



メインは方丈ですが、北庭南庭とも素晴らしいです。
北庭は白砂の庭。形式からいって、江戸初期の作庭やと思うんですが、これは未確認。
白砂にサツキのよくある組み合わせですが、極端に抽象化されていないところが、オレの好みにぴったり合ってました。つまり、ほどよく植物が配されているんですわ。サツキに山茶花、ソテツなど。なぜかヤシの木までが植えられているのにはビックリしましたが、それでも、上手く馴染んでるし。
借景となっている山はまったく知りませんが、空と借景のコントラストも鮮やかで、見ていて飽きないお庭です。
一休さんって、禅を極めるタイプ、つまり狂気の人ではなくて、あくまで俗世の垢にまみれたなかで生きようとした人やと思うんですが、極端に抽象化されていないお庭、ある意味、中途半端ともなりかねないこのお庭を見て、一休さんの人間性がよく出てるなあと思いました。うん、好きな庭です☆

んで、ここ、来にくい場所にあるせいもあって、参拝客が、あんまり、というか、ほとんど来てませんでした。
おかげで、お庭を眺めながら、縁側でなんぼでも寝っ転がれます!
ましてや、この日は、冬とは思えない陽気。
もうね、これが至福のときでして。オレはこれを楽しみに神社仏閣を巡っているといっても過言ではないですからね。
趣味、お寺さんの軒先でお庭を眺めながら昼寝、ですから。

ちなみに、寝っ転がってお尻を向けている先には、狩野探幽筆の襖絵を配した部屋がいくつかあり、一休禅師木造が安置されてます。
この木像、重文なんですが、なんやしらん、フラッシュ焚いて撮影しても、なにも言われませんでした。こんな太っ腹なお寺さん、知りません。もっとも、光量が弱いのと、遠かったのとで、上手いこと撮影出来ませんでしたが。。。ちなみにこの木像、頭髪は実際の一休さんのものが植え付けられているとのこと。

方丈の東側には庭石と刈り込みを置いて十六羅漢を表現、北庭は石組だけで蓬莱山の瀧から水が流れ落ちて海へ流れるさまを表現してます。
つまるところ、この方丈には、北、東、南と3面で庭がしつらえられているんですが、あんまりないですね。4面も少ないですが、3面でも、なかなか贅沢な趣です。





この方丈以外にも伽藍はたくさんあるんですが、書院や東司、本堂など、ほとんどの伽藍は未公開。でも伽藍と伽藍を繋いでいるお庭は結構広くて、散策して楽しめますわ。



途中、後付けでしょうが橋がしつられてあって、「このはしわたるな」の立て札が…。そう、あの、一休さんのとんち話に出てくる、橋を端に読み変えて難題解決を図る、あの橋がありました(笑) 親しみやすさを持たせようとの配慮でつくってあるんでしょうが、こんな媚びは要らんねん!(笑)





媚びといえば、アニメの一休さんの絵ハガギが売られていたり、セル画が展示してあったり、商魂逞しいというかんじではないんですが、どーも、媚びてるような印象が(笑)
そのあたり、興醒めなんですけどね。



そうそう、最後に、一休寺納豆をいただきました。
大豆をむしろで蒸す、それを常温で干す。
はったい粉と麹を混ぜて寝かせ、発酵させる。
塩水のお湯のなかで、さらに発酵させる。
この行程で1年間かけてつくってるそうです。一休さんのころからつくってるんだとか。
それとお茶をいただきました。塩味が利いていて、お茶受けによくあいますな。
拝観料500円だけですから、安いです☆





さて、一休寺を堪能して次に向かった先は、浄瑠璃寺。途中、蟹満寺があるんで、名前のインパクトに惹かれて向かったんですが、山道で完全に迷ってしまい、断念しました(笑)

なので、一路、浄瑠璃寺へ。

ここはもう、写真集かなにかで見て以来、行きたくて行きたくて仕方がなかったお寺さんですわ。
まず、名前が、美しい。浄瑠璃のお寺ですからね。
んで、写真で見たかぎり、本堂がかなりスタイリッシュ。余計なものが一切省かれているフォルムに惹かれまして…。
今回、念願叶って行ってきましたですよ。まあ、遠かったですけど…。

んで、着いたのが3時くらいやったんですが、じつはお昼ゴハンがまだでした。
今回は、久方ぶりに相方さんがお弁当をこしらえてくれたのですが、食べる適当な場所が見つからなくて。木津川に沿って車を走らせてきたものの、いい場所がなかったんですよ。
なので、浄瑠璃寺の駐車場で、食べたんですけどね(笑)
ちなみに、シートを持ってきてなくて、駐車場の管理人さんが、シートを貸してくれました。

さて、浄瑠璃寺。

参道がいいかんじです〜。



このお寺さんは、西方九体阿弥陀堂と東方三重塔の2つの伽藍で構成されてます。あいだに、浄土式庭園を挟んでますが、それだけです。

どちらも藤原時代建立の建造物で、宇治の平等院と同時期の、古い古い建物です。一度も焼失してませんから、正真正銘、藤原時代のものです。

で、西方九体阿弥陀堂。





この、平べったくもスタイリッシュなフォルムを持つ西方九体阿弥陀堂は、文字通り、9体の阿弥陀如来さんを安置するためだけに建てられた建物です。そういう建物としては、現存する唯一のものですね。
中に入ると、ずらずらっと9体の阿弥陀如来さんが横並びで鎮座されている風景は、圧巻です。
両脇を持国天、増長天、不動明王三尊像の四天王メンバーが固め、9体の阿弥陀如来さんのあいだには、吉祥天女さん、大日如来さんがおわします。もっとも、吉祥天女さんと大日如来さんは秘仏で、この日は見れませんでした。

翻って、浄土庭園の池を挟んで東方に眼を向けると薬師如来さんを祀った東方三重塔があります。



これはね、なかなかありがたい配置ですよ。

少し解説を加えておきますと…、
薬師如来さんは過去世から送り出してくれる仏さんでして、過去の因縁や苦悩を超えて進むための薬を与えてくれる仏さんです。オレたちを送り出してくれるんですが、その仏さんが、太陽の昇る東に安置されています。
一方で西には、9体の阿弥陀如来さん。
阿弥陀如来さんは、阿弥陀如来さんは理想の未来にいて、そこへ向かって進むオレたちを受け入れ、向かえてくれる、来世の仏さん、未来仏なんです。その仏さんが、西方浄土(極楽浄土)のある方向である西に、ちゃーんと安置されている。
だから、
仏教では、東は過去(苦悩)、西は未来(理想)なんです。この2つの真ん中に位置する浄土式庭園の池は、ですから、東を此岸、西を彼岸としているわけです。東の薬師、西の如来、ってわけです。

薬師さんに遺送されて出発し、この現世へ出て正しい生きかたを教えてくれた釈迦の教えにしたがい、煩悩の川を越えて彼岸にある未来を目指して精進する。そうすれば、やがて阿弥陀さんに迎えられて西方浄土に至ることが出来る、と、こういうストーリーが、このお寺さん全体で表現されているわけです。

彼岸から此岸を目指すんですが、あいだにあるのは、浄土式庭園。

これはもちろん、極楽浄土を表したもので、宇治の平等院にある庭園と同じ意味合いを持ってます。

だから、なんで浄瑠璃寺なのよ、浄土寺でいいんじゃないの?って疑問があったんですが、住職さんにお聞きして納得しました。
このお寺さんのご本尊は、東方三重塔に安置している薬師如来さん。そして、薬師仏の世界では、浄土のことを浄瑠璃と表現するらしいのです。なので、こちらのお寺は浄瑠璃寺。

んで、そうしたお話を伺い東方三重塔に行った折り、このなかに祀られてるご本尊の薬師如来さんが、ご開帳されてるんですよ。普段は、秘仏です。毎月8日、彼岸の中日、正月3ヶ日のみのご開帳らしいのですが、なんと、訪れた日は、掃除の日(笑) 運よくご開帳に居合わせたわけです。しかも、通常のご開帳では開かない、横の扉が開いてまして。いやいや、珍しいものを拝みましたですよ。



写真で見るかぎりでは、吉祥天女像がなかなかふくよかでよろしいのですが、こちらもまた秘仏。拝むこと叶いませんでした。
さらに、せっかくの浄土式庭園も、冬のあいだは、草花もなく…。
関西花の寺霊場にも数えられるほどのお寺さんなので、桜、アヤメ、カキツバタ、紫陽花、桔梗、萩、紅葉…と、季節が季節なら、色とりどりに咲き乱れてくれて、それこそ浄土の世界が展開されるんですけどね。

あ、でも、馬酔木が咲いてました!



また時季のいいときに、他の仏さんのご開帳も狙いつつ、リベンジします~。

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