2006年1月21日土曜日

お気楽な人





金曜日の報道ステーションで、ザ・フォーク・クルセダーズの特集やってたんで、観てしまいました。普段は、古館の顔なんて見たくないんだけど。

ザ・フォーク・クルセダーズについては、
1968年、「帰ってきた酔っぱらい」でデビューして、「イムジン河」が発禁になって、「悲しくてやりきれない」がオレのカラオケの十八番になっていること以外には、さして情報を持ってなかったんですよ。第一、音源が中古レコード屋で富士山みたいな値段で取引されてる代物なので。

そのむかし、70年代に、サディスティック・ミカ・バンドというバンドがありまして、このバンドは、おそらく、日本人で初めてイギリスでライブ活動&レコーディングしたバンドなんですが、ロックで、オシャレで、お笑いが入ってて、軽薄で、ゴージャズで、フェイクで…、まあ、フリッパーズ・ギターの 70年代版といった趣で、オレはかなりかなり好きなバンドだったのですよ。

ミカ・バンドは、その後のYMOやムーンライダーズにも影響を与えているバンドで、高中正義 (スーパーギタリストですね) 、高橋幸宏 (ご存知、YMO) 、後藤次利 (今はSMAPなんかも手がける大御所アレンジャーですね) 、坂本龍一 (はい、教授です) 、細野晴臣 (YMOだけじゃないです) 、小原礼 (これも大御所の作詞家に) 、つのだひろ (メリージェーンの人ですね。お兄さんは、つのだじろう) …、なんていう錚々たる面子が入れ替わり立ち替わり在籍していたバンドですね。

で、ミカ・バンドのリーダーの加藤和彦氏がそれ以前にやっていたのが、ザ・フォーク・クルセダーズ。

でも、フォークルって、所詮はフォーク。あの、時代の最先端を行くのが大好きなミーハー加藤氏がフォークってのもなあ、と、ずっと思っていて、今回、古館の番組でも観るか、となった次第で。

そんなに期待はしてなかったけれど、かなり、面白かったです。
いや、あんなに面白い中身になってたとは意外だったわ。

だいたい、「帰ってきた酔っぱらい」のヘンテコな歌声は、録音テープのスピードを速めて遊んでたら、出来ちゃったという代物。
だから、フォークでもなんでもないですな。フォークソングが持ってた生真面目さが、まったくない!

やっぱ、加藤氏はむかしっから加藤氏でした!
このお気楽さと遊び心がね、加藤氏の真骨頂なのですよ。

「悲しくてやりきれない」は、発禁になった「イムジン河」のメロディを逆さに演奏して遊んでたら生まれたとか。

つまり、あの名曲も、遊んでたら生まれたということですわ。
そこには過剰な物語もドラマもなくて、名作が生まれることとそんな物語はまったく関係ない!ということを、ほかでもないミーハーな加藤氏が身をもって示していてくれていたことが、とても痛快です。

名作誕生や大記録達成の裏に、過剰な物語を求めるのは日本のメディアの悪い癖ですが、やっぱ、加藤氏はそのことがよくわかってる人ですね。さすが!

「イムジン河」、この歌の内容が北朝鮮にかかわることで、当時、日本は北朝鮮を公式の国として認めていなかったために、発禁処分となったのだとか。
でも、ライブでは歌ってたみたいですね。

芸能界は、それまで、ライブの曲順なんかも全部レコード会社が決めてたらしいですが、そういう慣習事を、彼らはぜーんぶ無視してたらしい。
ライブじゃ、好きな曲を好きなように演奏した。
ジャケットのデザインも自分らでやった。

今じゃあたりまえのことでも、当時では、革命的なことだったのでしょう。

バンドも、結成からわずか1年後、人気絶頂のときに、唐突に解散。
やりたいこともなくなったし、もともとが遊びではじめたバンドだし、金儲けには関心がなかったから、あっさりと解散。

このお気楽さ、さすがですね。
加藤氏は、むかしっから加藤氏でした。
そんな加藤氏が、オレは好きですね。

ところで…、
フォークルの音源は、今、あの、エイベックスが持ってるらしいですな。
再発してください!



サディスティック・ミカ・バンド / 『黒船』

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