2007年5月18日金曜日

キング・カズの愛しかた


サッカー一筋…カズが政界進出一蹴

キング・カズに自民党が夏の参院選に向けて、キング・カズに比例代表のオファーを出していたらしいですな。
このへんが、自民党の目端の利くところで、民主党のダメなところですね。民主党は、著名人の擁立がすごく下手クソです。
比例だから個々の立候補者の実力はあんまり関係ないけど、カズなら、浮動票の多い都市部なら、小選挙区でも当選するんじゃないかと思いますよ。
カズには、今回だけじゃなくて、以前にもオファーが来てました。
現役選手なのにそういうオファーが来るって、この人くらいじゃないですか。

断ったみたいですね。
断ってくれて、ホッとしてますが(笑)

サッカー選手や関係者の政界進出っていうのは、世界中でわりとあって、ジーコはブラジルでスポーツ大臣をやったし(その後、現役に復帰して鹿島アントラーズでプレーした強者ですが)、イタリアの首相だったベルルスコーニは、ACミランの会長ですからね。あの、悪童マラドーナですら、政界進出の噂が絶えません。

カズはねえ、オレと同年代だし、オレとオレの世代にとっては、希望の星そのものなんですよ。

サッカーが大好きですね。
もう40歳でとっくに引退していてもおかしくない年齢なのに、いまだにサッカー小僧みたいな雰囲気を漂わせてます。
通常のベテランと呼ばれる年齢すら超えているから、本人は「ベテランよりも上のプラチナだ!」って言ってますけど。
サッカー仲間のあいだで、カズの話題になるたびに、彼の引退後の姿を、みなで想像します。引退しないから、ずーっとこの話題を引きずってます(笑)
たいていの選手は、こいつはタレントかな、こいつはコーチかな、こいつは解説者かな、こいつは協会入りかなって、ある程度想像することが出来るんです。ちなみに、都並敏史は絶対に中古車ディーラーになると思ってたんですけどね(笑)
でも、カズは、引退後の姿というものが、まったく想像出来ないんですよ。で、いつもなんですが、あーだこーだと盛り上がった最後に、仲良しのトシちゃん(田原俊彦)とユニットつくって、ディナーショーで全国をまわってる、ってところに無理矢理落ち着かせるんですけどね(笑)

それくらいね、現役でサッカーやってるカズしか、想像出来ないんです。
川崎ヴェルディ(当時)で契約更改の場で屈辱の0円提示を出されても、W杯フランス大会直前でメンバー漏れしても、ヴィッセル神戸でキャプテンを剥奪されても、J2の横浜FCに移籍しても、腐ることもなく、淡々とボールを追いかけてきた姿に、オレはどれほどの勇気をもらってきたことか。

横浜FCに移籍したとき、メディアは、スーパースターがJ2というステージでプレーすることに、なにかしらの物語性を持たせようとしていまいた。
でも、そういうことじゃないんだな。
彼にとって重要なことは、サッカーが出来る環境があること、チームから必要とされること、どんな状況に置かれても最も高いところを目指して挑戦し続けることです。場所やステージは、大きな問題ではないんですね。それは今までも、そして、これからも変わらない。

だから、政治家なんてやってる場合じゃないんだな、彼は。

テクニックだけなら、もっと上手い選手はいくらでもいます。スピードだけなら、もっと速い選手はいくらでもいます。
でも、これほどまでにサッカーを真摯にプレーし、常に一番高い位置を求めて挑戦することにこだわりを持った選手は、いません。その存在感は、どんなプレーヤーも及びません。

この人はね、放っておいたら、1日中でも1年中でもサッカーやってますよ。いまだに、サッカー小僧ですよ。

神戸に在籍していた時代、短い時間だったけれども、一度だけインタビューしたことがあります。
高校を中退してブラジルにわたったころの話、イタリアでプレーした時代の話、クロアチアでプレーした時代の話を軸に、海外で生活することの意味を聞こうとしたのでした。
このインタビューは見事に失敗して、サッカーばっかりしてた、サッカーの話ばっかりしてた、なんてことしか話してもらえませんでした。でも、かろうじて、どの国にも、すごく素敵なサッカー文化が、普段の生活のなかに溶け込んでいた話だけは、聞けました。

日本で、一番才能のあるサッカー選手は誰か、と、問われたら、オレはやっぱり、カズ!と答えます。
汲めども汲めども尽きることのない向上心と、サッカーに対する愛情。
これこそが、彼が持つ、日本でどのサッカー選手よりもデカい才能です。

彼がブラジルに渡ったとき、日本人がサッカーで飯を食っていくことが出来るなんて、誰ひとり、妄想すらしたことのない時代でした。
彼が、日本代表をW杯に連れていく!と言っていたとき、彼はキチガイ扱いでしたよ。

教育基本法に「愛国心」の記述を盛り込むの盛り込まないので揉めている国会の場にね、カズを引っぱり出したりしないでくれ。

彼が、どれほど日本代表を愛していたことか。彼の日本代表への愛しかたは、完全に常識の範疇を超えてました。「日本人=サッカーが下手な人」というブラジルで、お手製の日の丸をつけたTシャツを着て、ブラジル人相手にストリート・サッカーで闘いを挑んだ男の愛しかたは、政治屋どもの口にする愛国心なんて、足もとにも及びません。

カズだけじゃない。
新潟や浦和を見ればいい。
彼らは、すでに大きな家族だし、ひとつの共同体になっています。
ふるさとを喪失した戦後日本にあって、そこは、新たなふるさとの原風景になりえています。
カズも、サッカー界も、政治屋が口にする愛国心などよりもはるかに素敵な、ふるさとへの思いを、すでに獲得しています。

オシム監督、願わくばキング・カズを南アフリカの地に!



今日は、カズに思いを馳せて、ブラジル音楽ですな。

本日の1枚:
『Memories, Chronicles & Declarations Of Love』
Marisa Monte



セルジュ・ゲンズブールの「Je T'aime...Moi Non Plus」~マリサ・モンチの「Amor I love You」へ続く、珠玉の5分53秒☆

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