2007年5月31日木曜日

人の業の、なんと深きことか

松岡農林相の訃報が流れたとき、彼は辞任すべきだと言っていた自民党議員は、まず、彼の冥福を祈るコメントをしていました。
一方で、社民党の福島瑞穂は、説明責任を果たすことなく亡くなったのは残念だ、みたいなことをコメントしてましたね。
バカか、と思いましたよ。
オレは松岡農林相なんて縁もゆかりもないから、子供に自殺するなって説いてる内閣の閣僚が自殺するんじゃないよ、くらいのことは思いますが、福島瑞穂は、政敵とはいえ、おなじ国会議員でしょう。顔見知りでしょう。ましてや、彼女は、ひとつの政党を代表する党首です。
どうしてね、お悔やみを最初に言えん?
政治的な立場からのコメントは、その次でしょう。
最初にお悔やみを言ったのかもしれないし、その言葉をメディアはカットして放送したのかもしれません。でも、そうだったなら、メディアがそういう操作をすることくらい、彼女は承知したうえで発言するべきです。
あれで、人権派の弁護士を名乗り、人権派を標榜する政党だというのだから、ちゃんちゃらおかしいです。
人権派と称する人たちって、言葉とは裏腹に、なぜか、非人間的な人が多いですね。
少なくとも、平均的な日本人が持っている死生観とずれているし、政治家としてのセンスもありません。
いや、あのコメントを聞いたとき、PCのマウスを、思わず放り投げましたわ。

阪神大震災があったころ、オレの師匠は、大阪中の家具屋さんを束ねる大親分でした。大阪に、関東から超大型の家具量販店が進出してくる計画が発表され、大阪の小さな家具屋さんは危機感を募らせ、オレの師匠が、出店反対の神輿に担ぎ上げられていました。
その超大型家具量販店は、神戸に出店準備室をすでに構えていたのですが、そのとき、阪神大震災が起こりました。出店準備室は壊滅し、そちらのお店のスタッフから、何人かの死者が出ました。
オレの師匠は、死活問題にすらなっているその量販店に対して、自腹で、100万円の見舞金を送ってましたね。弔電も打ち、葬儀にも列席してました。
人の死というものは等しくて、敵味方など超えたところにあるのだよ、と、オレは、そのとき、師匠に教わったのでした。
オレは、そのときの師匠の言葉を、肝に銘じてますけどね。福島瑞穂に教えてあげたいもんです。

さて、火曜日、オレは急な名古屋出張でして、合間に、愛知県立美術館に伊藤若冲のプライス・コレクションを見、仕事をこなして、トンボ返りで帰阪。新幹線に乗り込んだらですな、叔父の訃報が飛び込んできました。
脳溢血でした。子供がおらず、奥さんが2年前に先立たれたので、独り暮らしでした。自宅で倒れ、死後数時間が経っていたようで、隣に住む彼の幼なじみのおじさんが、連絡がとれずにおかしいと思い、家に入って、倒れているところを発見してくれました。
叔父の父親、つまりオレの祖父が開いた大阪でも一番古い部類に入る喫茶店を引き継ぎ、やってきた人です。
突然のことでビックリしたし、いろいろとお世話にもなったので、思うことはさまざまにあります。
さまざまにありますが、これから先の葬儀やなんやの、有象無象のことを考えると、もううんざりする気分が先に立って…。

オレのオカンの弟です。63歳です。
オレんところは、オヤジが広島出身なのですが、オヤジの親戚のほとんどが戦争で亡くなっていることや、オヤジが大阪で生活してきたこともって、我が家の親戚付き合いは、大阪を根城としている母方がメインなのですね。
で、この母方の親戚連中なんですが、半数が創価学会に入会しておりまして。。。
あのね、オレのマイミクさんのなかに創価学会員がいらっしゃるかどうか知りませんが、オレは、この人たちに、葬儀、法事のたびごとにね、邪魔されてきたのですよ。

いつだったか、オレが高校生のころだっと思うのですが、オレのオカンが、親戚に感化されて、突如、学会員になったのですね。聖教新聞と大白蓮花を購読し、代々の位牌の横にご本尊と称する掛け軸を祀り、連日連夜、南無妙法蓮華経を唱え出し、集会に顔を出すようになり…、オヤジはもともとが創価学会も池田大作も公明党も大嫌いな人でしたから、もうね、毎日毎日、夫婦喧嘩ばっかりでしたよ。寄付とか高額商品の購入とか、そういうことはなかったけれども、なにがきっかけなんだか知りませんが、のめり込むようにして、毎日読経してましたね。
そのころ、オレは家に寄りつきませんでしたから、まあ、詳しいことは知らないですけどね。触らぬ神に祟りなしで(笑)

そのオヤジが亡くなったのが、オレが27歳のとき。
オレはその直前に日本に帰国し、喪主を勤めることになるんですが、もうね、オレの知らない人たちがわんさとやってきて、学会葬をやろうとするんですよ。オカンも一緒になって。
故人が創価学会を毛嫌いしてたのにさ、それはないだろう!と。
葬儀会場に青白の幕が勝手に張られていくのを目にしてね、ブチ切れましたね。全員の首根っこを引っつかまえて、青白の幕も外して、強制退去。
で、こっちで用意した葬儀屋さんに黒白の幕を改めて張りなおしてもらって…。
そのあとね、オレの目を盗んで、もっかいやって来て、青白の幕と交換しようとまでしたんですよ。
お坊さんまで勝手に呼ぶし。。。
うちのオヤジはお東さんですから、南無阿弥陀仏と南無妙法蓮華経が大ゲンカですよ。。

そんときオレは、もちろん喪主を勤めるなんて初めてで、それこそ師匠にいろんなことを教わりながら進めていくんですが、オヤジも商売人だったので、焼香や席次の序列とか、どの偉いさんをどの順番でなんて、わからんのですよ。サラリーマンなら、会社の社長がトップ、で、すぐに決まるんでしょうが、商売人だとそうはいかないし、ましてや、オレはオヤジの交友関係を知りませんでしたから。留め焼香を誰にすればいいのかすら、わからんかったですわ。
近所の人に手伝ってもらいながら、弁当の手配をし、生花の名前をチェックし…。
それをね、また、いちゃもんつける人がいるんですよ。あれがなってない、ここが間違ってる、こんなんじゃダメだ!とね。母親の叔父にあたる、桃山学院大学スポーツ生理学教授のオッサンですけどね。
んなもんね、初めてで右も左もわからないオレが喪主兼葬儀委員長をやってるんだから、教えてくれるなり手伝ってくれるなりすればいいものを、文句言うだけ。いちゃもんつけるだけ。
名前がものすごい難しい人がいらっしゃって、オレはその人が献花してくださった生花の名前を間違ってしまい、エラいこと失礼を働いたんですが、でも、おおらかに受け流してくれました。それが普通でしょ。

そのあと、オカンの兄弟…、長女、次女、オカン、長男なんですが、これがまた、年いってから仲が悪くてですな。しかも見栄っ張りときてまして、香典の額が、誰が多いだとか誰が少ないだとか、私には内緒で高額の香典を出して私に恥をかかせただとか…、もう、まとめて佃煮にしてやりたいようなことばっかり言ってるんですよ。

オレはですな、オヤジの葬式から数えて、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌と執り仕切ってきましたけど、そのたびごとにですな、このようなドタバタに巻き込まれておりまして、もう、やだ!ってかんじなのですよ。
一周忌のとき、香典の額の見栄の張り合いでケンカになったオカン兄弟を、オレは法事の席から追い出して出席させませんでしたから。なんで法事の場で、年長の身内に対して、オレがこんな強権を発動せねばならんのか…。

2年前、叔父の奥さん、つまりオレの叔母にあたる方が、亡くなりました。叔父夫婦には子供がいらっしゃらなくて、叔父が喪主を勤めた際にオレが手伝ったのですが、やはりおなじようなドタバタが…。

そして今回。
叔父夫婦に子供がいらっしゃらないので、叔父兄弟の長女、つまりオレのオカンの兄弟の長女が喪主を勤めるのですが、んなもんかたちだけの喪主で、オレが葬儀委員長をやらねばならんのですよ。オカン3姉妹のダンナは、全員、他界してますから。
この兄弟のそれぞれの子供たち、つまりオレとオレのいとこ連中のなかで、オレが2番目に年長の男でして、最年長のいとこのお兄ちゃんとオレとで、葬儀を仕切らざるを得ません。

今回はですな、上記トラブル(マジで、今回も上記トラブル、すべて発生してます。勢揃いですわ)に加えて、すでに他界してますが、オレの祖父、祖母の面倒を見てきた叔父が亡くなったわけですから、形見分けがね…。祖母の嫁入り道具の桐タンスだとか、祖母が亡くなった際にも揉めまくった形見分けがね、あるんですよ。もう、すでにぶんどりあいがはじまってますわ。はぁ…。

さらにさらに、祖父の代から続いてきた喫茶店とその土地の処分。これが借地か借家か自分の土地か自分の建物か、残された兄弟の誰も知らないという体たらくでして、さっそく、謄本をあげなければなりません。
借金もあるし、相続するものがあるのかないのかからはじまって、相続権を持つオカン兄弟の醜い争いが、これからまたはじまるわけですよ。
古い喫茶店だから、コーヒーの焙煎器、業務用の古いのがあるんです。それ、密かに狙ってるんですが、まあ、オレの出る幕はないでしょうね。。。

火曜水曜と、創価学会の連中とやり合いました。今、お寺さんとケンカしていて、学会葬はお坊さんなしで行うらしいですね。
それでもありがたいお経を心を込めて唱えるので、故人にとってはなんちゃらかんちゃら、と。法華経の歴史的な使われかたまでオレに講義しだす始末ですよ。
そういう話になるのなら、オレは受けて立つよ(笑)
あのなあ、本来、法華経であれ真宗であれなんであれ、仏教は、葬式を執り行う宗教ではないですよ。仏教は、どの宗派であれ、葬式なんかやらなかった宗教ですよ。檀家制度を設け、墓を管理し、葬儀に坊主が出てきてお経を唱えるようになったのは、宗教とは関係なく、お寺が商売としてやってることですよ。もちろん法要はむかしからあるけれども、それは、国家鎮護のためですから。
と、講釈など紐解いても詮なくて、とにかく今すぐ帰らんと不法侵入で訴えるぞ、と。

火曜、あっちこっちに訃報を伝え、町会に連絡して葬儀のお手伝いを依頼し、葬儀屋さんを呼んで見積もり&値切り交渉&発注。
水曜、検死を終えて(自宅でなくなっているので)、仮通夜。
木曜、通夜。
金曜、葬式、出棺、納骨。

そのあと、形見分けだ相続だとやって、店の処分をはじめて、叔父が住んでいた家は賃貸なので賃貸契約の解除をし、家財道具の処分をやって、初七日はすぐだし、四十九日までやることが山ほどもあって、あっという間でしょうね。今、せっせとToDoリストをつくってます。

さっき、仮通夜から帰ってきました。帰ったといっても、自宅ではなくて、神戸の編集部ですけれども。月末で仕事がたまってますからね。
早速、電話。
弁当に生ものが入っていたとかで、桃山学院大学スポーツ生理学教授のオッサンから、わけのわからんいちゃもんをつけられました。
あいあい、すまんこってすな。

はぁ、もう、うんざり。。。。
人間の業というのは、深いですなあ。
いい人生勉強になりますわ。。




ここは景気よく、ジプシーの弔い歌でもいっときますか。圧巻です☆


タラフ・ドゥ・ハイドゥークス / 『義賊と魔法の馬と悪魔の眼』

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