2007年9月12日水曜日

ブルータスの国宝特集



雑誌の「BRUTUS」は、滅多に買わないのだけれども(そのくせに、副編集長のブログは毎日チェックしている)、今回、国宝の特集を組んでいて、思わず買ってしまいました。もう1週間前のことなんですけれどもね。。

仏画から障壁画、仏像から日常品、書に刀に茶碗に絵巻に建築まで。
画像満載でね、かなりお得な特集になってます。これで650円は、安いですな。

たいていの国宝はどれも写真で見たものばっかなんですが、こうやって一堂に集められると、やっぱ、迫力が違いますよ。文化庁や文科省のサイトにも国宝リストはあるんだけれども、意図的かと思えるほど、画像がしょぼいですから。

狩野派のプリンス、狩野永徳の聚光院室中『四季花鳥図』なんて、部屋の3面を使った襖16枚の超大作だけれども、観音開きの製本にして、1枚のパノラマ写真で、ドーンと見せてくれてます。
やはり狩野永徳作の『洛中洛外図屏風』なんて、個人所有ですから、表に出ることなんてまずないし。それも、大パノラマ図でドーン。しかも、美術印刷!

もちろん、雪舟もあるし長谷川等伯もあれば俵屋宗達に尾形光琳も。絵師、5大スターがそろい踏みの豪華絢爛なページになってます。

仏像も、これでもかと掲載されているのですが、京都と奈良の仏像はそれなりにご対面しているとはいえ、やっぱ、地方ですよ、地方。滋賀と東北の中尊寺界隈。

死ぬまでに絶対に見たい向源寺の十一面観音立像、勝常寺の薬師如来さんと両脇に安置された月光・日光菩薩立像、観心寺の如意輪観音像…、ちょっと涎がとまらん、未だ見ぬ彼の人が目白押しです。

さて、このまま国宝の話を進めていってもいいのですが、それはどうせ神社仏閣巡り日記をアップするときに、もうやめてくれ~!と言われるくらいに書くつもりなので(笑) 今回は、この雑誌のこの号について。

ちょっと専門的な話になるのですが…。
今号は、印刷がわかる人にはわかるんですが、非常に贅沢につくられています。

印刷というのは、普通、赤・黄・青・黒の4つの色を掛け合わせて、あらゆる色を表現するんですが、それに加えて、特色というやつがあるのですね。
その特色のなかでも、金や蛍光カラーはそれだけで倍ほどの値段がするんですが、その金をね、ふんだんに使ってやがるの。
たまに、表紙だけは贅沢にお金をかけて特色を使う場合はあるんですが、なかの特集の扉にまで特色を使って贅沢をするっていうのは、日本の雑誌ではちょっと聞いたことがないですな。かなり羨ましいです☆
狩野永徳の『洛中洛外屏風』が、4ページ分の観音開きで金色を使っての仕様ですよ。ほとんど、美術印刷並みですから。

さらにですな、各ページに添えられた記事のキャッチコピーがどれも奮ってましてね、無署名の記事がほとんどなので、編集部の誰かが書いているのでしょうが(というか、きっとひとりの人が書いてます)、これがね、いいのですよ~!

狩野永徳の紹介文は、こんなのですよ(笑)

天下人に愛された華麗なる一族。
プリンス永徳、聚光院に吠える「永徳参上、夜露死苦!」。

5大絵師の紹介はこんなの。

立てば蓮池、
座れば山水、
歩く姿は燕子花のザ・国宝。

雪舟。

行った! 見た! 描いた!
京都五山の落ちこぼれ画僧が国宝最多勝絵師になるまで。

長谷川等伯

30過ぎて京都デビュー?
名門を脅かしたドブ板中年絵師のアゲアゲ下克上、人生すごろく。

仏像(奈良)

あをによし、
京都の都は仏像
メルティング・ポット。

仏像(京都)

最新から最古まで、
ショーユ顔の仏像は
京都に花開く。

日常品

嫁入り道具だって
行事マニュアルだって
国宝になります!

神道

我が輩は神様である。
形はまだない。
ずっとない。

「うみやまのあひだ」に居ます神様への、ピースフルな信仰のかたち。

風姿

描いて楽しい、見て嬉しい。
美男美女こそ人間国宝だ!

絵巻

ロマンスありホラーあり
ドキュメンタリーもある、
中世の映像ライブラリー。

絵巻

俯瞰もアップも思いのまま。
絵巻ヌーベルバーグに学ぶ、
映像表現のいろはにほへと。

仏画

仏教美術が抹香臭いなんて誰が言った? 光り輝く仏の奇跡を見よ!

書跡

天皇も貴族も坊さんも、
筆一本で名を残す。

茶碗

「お茶しない?」
史上最強、ヒストリカル勝負茶碗。

茶碗

見ーてーるーだーけー、でも満足な、AAA格付け5碗。

建築

地震雷火事建て替え。
よくぞ残った風雪の古建築。

切手

切手は国宝目録です。



日本文化が見直されている昨今、より身近なものに!と配慮された特集もたくさんありますが、ここまで全編にわたってキャッチコピーのテイストを統一させるのは、並大抵の技術ではないです。
オレのような仕事をしている人間にとっては、これだけでも、買いです☆



国宝といえば、オレは、すぐさま、この人たちを思い浮かべます。
アイルランドどころか、世界遺産に指定したい人たち、ヴァン・モリソンとチーフタンズの競演☆

本日の1枚:
『The Star Of County Down』
Van Morrison & The Chieftains

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