2007年9月15日土曜日

『女帝』のいる風景



新地に「おっちゃんの店」という名前の店がありましてな。ビルの4階にあって、エレベータがないので、階段で上らんとあかんのですよ。
なので、うえまで上ったけど閉まってた!なんて悲惨なことにならんように、ビルの外から見えるよう、窓から提灯がさげてあります。提灯に灯がついてたら営業中、灯が消えてたら店仕舞い。
カウンターにイスが5つか6つだけの狭い店でね。メニューは、餃子だけです。あ、餃子以外に、マカロニサラダがあります。
だから、店に入ると、30個!とか50個!とか、焼いてもらう餃子の数だけ注文して、あとは、欲しかったら、マカロニサラダの入った小鉢が置いてあるので、それを勝手にとるだけ。
おっちゃんがひとりでやってる小さな店です。しょぼいビルの4階でひっそりと営業してるんで、あんまり知られてないんですが、南○や南○など、大阪では有名どころの餃子専門店のオヤジは、この店のおっちゃんに育てられたりもしてます。

えーっと、この店のことを書きたいのでは、ないのでした。

この店は、新地のクラブのホステスさん御用達の店でして、クラブがはねたあと、ここに来てグチをこぼしたりホッコリしたりしているホステスさんは、たくさんいます。
そんな店だから、新地中の情報が集まってきていて、ホステスさんの移籍話やら新店オープンの情報やら、とあるお店の経済状況やらトラブルやら、この店にいてると、いろいろ耳にすることが出来ます。
関西料理界のドンを自称してる神○川のオヤジがどこでなんの悪さをしたとか、ぜーんぶ筒抜け(笑)

えーっと、この店のことを書きたいのでは、ないのでした。

オレは水商売で働く婦女子さんが大好きでしてね。
なんだかんだいって男社会のなかでね、頑張ってる婦女子さんが、大好きなんですよ。水商売の婦女子さんは、オンナを武器にしてね、男を手玉にとってね、そうやって頑張ってる姿は、ある種、小気味よくて、好きです。

頑張ってね、目一杯構えて仕事してるけれども、やっぱ人間だから、どっかで甘えたくもなるだろうし、気も抜きたくなりますわな。
おっちゃんの店に初めて連れていってくれたのは、仲よしだったクラブのママで、普段はかっこよく振る舞ってるんだけれども、仕事がはねてこの店でホッコリしてるときだけね、弱音を吐くんですよ。そういう時間、そういう風景が、オレは、とっても好きだったりします。

おなじホステスさんでも、クラブの、つまり、口座持ちのホステスさんは厳しい競争をやってますな。
んで、稼ぐホステスさんは、やっぱ、お客さんのことばっかり考えててね、ビックリするくらいに気配りしてます。そのあたり、どの商売でもおんなじだなあ、と思いますね。お客さんからお金を引っ張ることばっかり考えてるホステスさんは、やっぱ、どっかでつぶれていきますね。
だから、真っ当なホステスさんって、お客さんの悪口とかグチとか滅多に言わないけれども、それでもね、ふと気が緩んだ瞬間、おっちゃんの店でホッコリしているとき、なにかの拍子にね、あのお客さんがね、なんてことを、口にします。
それはねえ、もう、人間だから仕方がないよ、ってレベルでね、ときどき、恨み節めいたことを口にします。そういう瞬間がね、その人の素が見えた気がして、オレは、とっても好きだったりします。

オレは、自分がマイノリティだという自覚があるので、やっぱりね、この世のなかではどこまでいっても少数派でしかないホステスさんたちには、同志的な思いがあります。

惚れた腫れたの世界でもあるし、そこを絡めて商売してるし、婦女子さんばっかりの職場だから、それ特有のものもありますな。
いじめとか、派閥とか…。

今はもう全然行かないけれども、20代のころは、そういう場所で、よく遊んでました。

さて、金曜夜の10時。『女帝』。
これは、マンガでずーっと読んでて、好きだったのですよ。
熊本から大阪ミナミを経て銀座に行ってのしあがっていく、夜の世界の女帝になる!と野望を持つ彩香さんがですな、その名のとおりのしあがっていくんですが…。
地元の国会議員にいじめられたり、彩香がじつは総理大臣の隠し子だったり、暴力団の抗争の仲介をしたり、ホステス間のいざこざで放火があったり、お客さんの弱みを握って金をつぎ込ませるホステスがいたり、お客とバンバン寝てるホステスがいたり…、まあ、そのあたりは、マンガ特有のドラマがこれでもかとてんこ盛りなのですが、それでもね、このマンガは、水商売の機微や、オレが知っているホステスさんたちの世界が丁寧に描かれていて、好きだったのですよ。

それがドラマ化でしょ。
滅多にドラマは見ないんですが、期待しましたですよ。主演の彩香役は、加藤ローザ。これ、マンガの彩香に一番顔が似てる女優さんを選んだんやと思いますわ。そっくりですから(笑)
ただ、マンガと違って、思いっきり、脚色されてますがな。毎回毎回、水戸黄門みたいに決めゼリフがあって、ほとんどスポ根ですがな…。
のしあがっちゃるけん!て(笑)
そないに毎回毎回頑張らんでよろし(笑)
しかも、ドラマ1回の放送で、単行本3冊分くらいの進みかたやし(笑)ほいで、もう最終回ですやん。10話くらいしか放送してないんじゃないですかね。。。

マンガもたしかにドロドロしてたんですが、ドラマのほうは、そこが思いっきりクローズアップされてて、ほとんど『牡丹と薔薇』のような(笑) もうね、昼のあの時間帯で放送してもらってですな、全100話くらいでやってほしいんですけどね(笑)

も少ししたら、録画した最終回を観ます。

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