2006年4月1日土曜日

鉄板人生

昨日、梅田にある馴染みのお好み焼き屋さんで、久しぶりに、オバァと向かい合ってました。

オバァ、63歳。
オレは、かれこれ20年以上この店に通ってるんで、オバァが40歳そこそこだったころからの知り合いです。
もうすぐ、オレも知り合ったころのオバァの年になるのかと思うと、なんだかゾッとします。
年下だったご主人は52歳で早世され、七回忌を終えられたばかりです。基本的には客と店主の関係でしかないのだけれども、可愛がってもらったし、仲よかったんで、誘われるままにご主人の七回忌にも出席させていただきました。

オバァは、惚れた弱みで、28歳のときからご主人以上に働いてきたそうです。
一粒種の愛娘はオバァのおばあちゃんに預け、週末だけ会っててね。娘さんが高校生になるまで、そんな生活を送ってらっしゃいました。

その間、焼いたお好み焼きは、何万枚か、何十万枚か…。
コテでお好み焼きを引っくり返し、包丁でキャベツを刻み、鍋や大きな皿を持つ。両手の10本の指はすべて内側に曲がっていて、もう真っ直ぐには伸びません。
かわいそうなんかじゃない。惚れ惚れするような、一生懸命に働いてきた人の、素敵な手です。
鉄板に向かい続けた結果、腰も曲がってしまって真っ直ぐには伸びません。
もう、お好み焼きをつくるための身体になってる。

ここまで働いても、おカネに余裕があるわけじゃない。
最近なあ、国金からおカネ借りたんやで〜、と、ケタケタと笑ってます。
何百万円かの借金があっても、一人娘が連れてくる孫の顔を見れば、やっぱり、喜ぶもののひとつも買い与えてやりたいんですと。

オバァは、働き続けます。
ご主人のガンが内臓全体に転移してどうしようもなくなったとき、
この世での付き合いは短かったけど、あの世で待ってるからな、と、おっしゃったそうです。
幽明境を異にして、約束だけが遺りました。
待っていてくれる人がいるから、明日も生きていけるんやで〜、
オバァは、やっぱり、ケタケタと笑って、オレにそう言うのでした。

気分が滅入ったとき、オバァに会いに行きます。
オバァに、元気をもらいにいきます。
ありがとう。
でも、ほんとは、オレがオバァを元気づけてあげないといけないんだよね。


昨日は、オバァの大好きな石原裕次郎を、無理矢理聴かされました(笑)

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