2006年6月27日火曜日

「しんどい」を言わない





近所の行きつけの豆腐屋のオバァ、たぶん、70歳前後。まだ、現役ですわ。

こないだ、深夜4時過ぎに仕事から帰ってきて、豆腐屋のまえを通ったら、仕込みしてました。そりゃ、豆腐屋さんだからその時間に仕込みしてるんはあたりまえなんでしょうけど、あらためてその現場に出くわすと、やっぱ、すごいな! と。声も出ません。

夜中に仕込みやって、朝も昼も夜も店先で豆腐売って、いったい、いつ寝てるのよ?

翌日だったか翌々日だったか、豆腐を買いにいったときに、そんな話をしました。
「普段はおとーちゃんが仕込みするんやけどね、風邪で寝込んだんよ。だから、ウチがやってるの。あの人も、夏に風邪で寝込むて、年とったわ〜」

いやいや、年寄りが年寄りをつかまえて、年とったもなにもないでしょうが(笑)

まあ、そういう会話をして、チャンプルーをつくるのに木綿を一丁買ったんですが、このオバァの会話で、みなさん、どう感じました?

夜も仕事するハメになって、「しんどいわ〜」、の、ひとことが、ないんです。
オレ、そのことに、ふと気がついてね、そら恐ろしくなりました。

オレなら、間違いなく、しんどいわ〜、って、言ってます。
だから代わってくれというわけでもなく、同情を引きたいわけでもなく、言ったところでどうにもならんことももちろんわかってますが、オレは、間違いなく、言ってますね。
mixiでも、しんどい! 疲れた! ヘロヘロ! 忙しい! しょっちゅう言ってます。

でも、オバァは、言わない。
それを言わない強さを、ものすごく感じました。

なんでこんな話をしているのかというと、こないだのワールドカップの日本vsブラジル戦、ゲームセットのあとに、中田英寿がピッチに倒れこんで、10分くらい、その場で寝込んでましたね。

オバァも、そのことは知ってました。さすがにリアルタイムでゲームは見てないし、もともとがサッカーなんてよく知らないと思うんですが、一応、ヒデがピッチに倒れこんで寝ていたのは知っていたみたいで(笑)

んで、オバァ。
「あれはアカンねぇ。他の人がお客さんのところに挨拶に行ってるのに、しんどいのか悔しいのか知らないけど、ひとりだけあんなところで寝てたらアカンわぁ〜」
はぁ、おっしゃるとおりです。おっしゃるとおりなんだけど、いろいろと去来するものだとか、込み上げてくるものがあったんじゃないの?
「そうかもしらんけど、でも、男の子があんなんしてたら、みっともないわ。最近の男の子って、みんなあんなんか?」
みっともないと本人も思ったから、タオルを顔にかけて、泣いてるところを見せなかったし、あとの会見は笑顔でやったんだと思うよ。
「そんなんしらんけど、いろんな小細工しても、バレてるわぁ。丸わかりやん」

オバァが持ってる恥の文化と、オレが持ってる恥の文化が、違うんですね。
ヒデのことはさておき、この店の豆腐が美味いのは、オバァのこういうところと地続きで繋がってるんだなと、思いました。
じゃ、オレの仕事は? …まだまだです。

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