2007年6月19日火曜日

オレのジッポー


映画を見ているとですな、細部や背景にばっかり目がいくのですよ。ストーリーはよほど丹念な作品でないかぎり、大抵は1/3も過ぎたあたりで面が割れてしまうし、そうなれば描写力を見るということになるのですが、これはべつに、ヤマ場を見なくっても、任意のワンカットを見れば、大体のことがわかります。
念入りに、精密につくった作品は、無差別に抽出したワンカットを見ただけで、それとわかるもんです。
光線、カメラのアングル、時代考証、その他、その他…、こういうものは、よってたかってどのワンカットにも滲み出ているものでなければならんですから、一瞥したらわかるってもんで。

その一瞥で、これは!となるものであれは、たとえストーリーが、ヤマ場が、結末が予想通りになったとしても、オレは不満を覚えません。

ストーリーが早くも割れてしまい、しかも一瞥したカットがさほど期待を抱かせてくれないとなると、婦女子さんのお尻を眺めるよりも、むしろ細部やら小道具やら背景やらを、じろじろと意地悪く眺めているほうが、まあ楽しいです。陰気っちゃ陰気ですけどね(笑)

でもね、背景に自分が行ったことのある町やら路地やら野やら山やらが出てくるとね、もうダメですね。映画なんかそっちのけで、そのころのことをあれやこれやと思い出すのに忙しくなって、温かい湯に全身を浸したような具合に回想にもたれかかることが出来て、心地よかったりもします。

小道具を見てるときって、たとえばライターならライターで、第2次大戦を扱った映画なら、アメリカ兵はジッポーを使っていなければならないし、ヨーロッパ人とナチスなら、イコムを使っていなければならん、という具合になります。
どっちのライターも、ブリキ板を折って畳んでつくっただけの素朴なライターだけれども、着想は抜群ですな。

で、ジッポーの話。

ジッポーは、輸入ライターが高価でしかも壊れやすいことに腹を立てたひとりのオッサンが、奮発して開発した作品だということになっているんですが、商品名をつける段になって、ジッパーをチャッと引っ張ったときのあの音が大好きだったので、それをひねって、ジッポーと名付けたんだとか。

ブランド名というのは、一度ヒットすればそれ以外のどんな名前もダメだと感じられるものだから、今では、ジッポーのほかにこのライターの名前はどう考えようもありません。

アメ車のように油を食い過ぎる欠点はあるものの、このライターはまことに有能で、正確で、百発百中で、雨も風もかまうことなく火を起こし、壊れる箇所がほとんどないという、名品中の名品。しかも、安価。

いつだったかの広告に、傷だらけのライターの写真が出ていて、「第2次大戦中、ヨーロッパに上陸した最初の部隊の最先端のアメリカ兵が持っていたライターです」とキャプションがあり、ほんまかいな?と、真剣に考えれば思わんこともないのですが、それもありかも、と思わせるものが、ジッポーにはありますわ。

「カリブ海で釣ったサメの腹を開いたら、ジッポーが出てきた。試しにパチリとやってみたら、火が点いた」なんていう、いやいやそこまでは言い過ぎだろう!なんて広告もありましたが、そういう逸話を語らせたくなるのも、ジッポーならではのことで。

オレは、このライターが好きで、何年となく愛用してるんですが、始終、落っことしたり置き忘れたりするので、もう何個買い替えたかわからんほどです。

日本サッカーが初めてワールドカップ出場を果たしたフランス・ワールドカップの記念ジッポーは、フランスでワールドカップを観戦中に、飛び跳ねていたら、なくしていました…。

喫茶店に置き忘れなんて、ざら。

部屋のなかでなくしたまま、ついに出てこないのもあります。

でもね、今使ってるやつは、なぜかなくならんのですよ☆

銭湯のロッカーに置き忘れたときはかなり焦りましたが、翌日取りにいくと、ちゃんとありました。
電車のなかにカバンごと置き忘れたときも、ちゃんと終点の駅に届いてました。
ライブハウスのフロアでガンガンに踊っていて、気がついたらなくしてたんですが、知らない人が、これは誰のや~!ってかざしてくれて、無事にオレの手元に戻りました。

じつは昨日、行方不明になりまして、どこでなくしたのかもさっぱりわからず、悶々としていたのですが、馴染みのタバコ屋さんにタバコを買いにいくと、にいちゃん、昨日タバコを買いにきたときにライターを忘れていったで~、と。。。

なんでタバコ屋でジッポーを出していたのかすら謎ですが(笑) ちゃんと帰巣本能が働いた模様で、本日、ちゃんと手元に。

これ、5年くらいまえに、ジッポー屋さんで一目惚れして買ったのです。
シェル・フェイスで、ロザリオがあしらわれたもの。たしか、ジャスト1万円です。

今度こそ、末永く添い遂げてほしいもんです(笑)

0 件のコメント: