2007年6月23日土曜日

名声は、お金の次にほしくなる

ミンチに豚肉混入していたのがバレて、記者会見に引っ張り出されたミートホープの社長。

工場長は、ハンカチで汗を拭きまくりながら、しゃべってましたね。
社長は、なんとか言い逃れで切り抜けようとするところを、取締役でもある長男に、本当のことを言ってください!と、諭され…。

いや、いろんなドラマが濃縮されていて、ちょっと見入ってしまいましたわ~。
裏切りあり、涙ありの、昼ドラ?(笑)

悪事は悪事なんだから、メディアは容赦なく叩くし、それはそれでガンガンやってくれたらいいんですが、オレ、ちょっと違う見方をしてました。

この社長っていうのは、裸一貫でやってきた、叩き上げの人ですね。
そして、そういう人にありがちなワンマンぶりを存分に発揮してきた結果、それで上手くいったこともあるだろうけれども、今回、こういう事態を招いてしまった、と。

工場長は、肩書きに取締役がついてなかったから、管理職者ではあっても、経営には参加していないのでしょうね。
そして、社長がワンマンなのだから、工場長の生殺与奪の権利は、工場長が握っているわけです。だからこそ逆らえないし、進言も出来ないし、彼にとって社長は、雲の上の人。
でも、自分だって生活があるんだから、この場で、社長の泥を自分が被るわけにはいかないし。。。
もう、究極の選択ですね。

そして、取締役の長男。同族経営ならではの、年齢もキャリアも関係なく、すでに工場長を飛び越えて取締役の長男。
こやつは、妙な正義感を発揮して、社長!本当のことを言ってください!と。

いろいろ順番はあるんでしょうが、
人間、最初に必要になるのは、ゼニです。そのゼニを稼ぐために、裸一貫の社長は頑張ってきたのだろうし、商売人だから、かぎりなくコストは抑えようとし、その流れで、一線を越えてしまいました。

でも、二代目の長男には、そうしたゼニの苦労は、ないんですね。
ゼニがある人が次に求めるのは、名声です。ゼニの苦労のない彼にとっては、最初から、求めるものは名声であり、社会正義ですね。
これは環境の違いで、もしこの長男が、二代目のボンボンじゃなかったら、社長とおなじようなことをしていた可能性だってあります。

というようなことをね、メディアに従事している人間のほとんどはサラリーマンだから、わからないですね。わからんのは仕方がないんですが、わからないことがある、ということメディアの人間は自覚しないですから、深い考察が出来ず、単純なバッシングだけで終わってしまいます。

人間ってさ、なにもないところから、悪いことをしてやろうと思って悪さをする人って、ごくまれにしかいてないと、オレは思ってます。
窮地に陥ったとき、悪さをしてでもそこをすり抜けたいと考える人間が、いるだけです。
窮地に陥らなければ、人間はまず悪さをしない生きものです。

もちろん言い訳にはならないけれども、悪さをしてでもゼニを稼がなくちゃ!と思ってしまう、社長のプレッシャーもあるんですね。
二代目はそれがわかんないから、社会正義を持ち出す。

子に諭されてみっともない親だなあ、って、図式はね、やっぱ、単視眼的すぎて、あれは、親のおかげでゼニの苦労をせずに来た子が、そのせいで、ゼニがある人が次にほしい社会正義や名声を求める人物だったからこそ、の、セリフです。

どこにでもある、親子間、世代間のズレですね。


グッドウィルの折口会長もね、自宅にボーリング場までつくってたんでしょ。
それ聞いてさ、涙が出そうになりましたわ。
家でボーリングなんかやって、楽しいか?(笑) あんなもん、ボーリング場に行って、みんなでわいわいやるから楽しいもんじゃないですか。
彼は、裕福な家に生まれたけれども、家の事業が失敗して、どん底まで落とされたんですよね。
そっから、学費が要らないどころか給料がもらえるってことだけで、防大に進み…。
そういう生い立ちが、彼を銭ゲバにしちゃったんでしょうね。
最初から裸一貫でやってきた人よりも、裕福だった人がどん底まで落ちて、そっから這い上がってきた人は、普通の範疇に収まりきらない人が多いですね。ホリエモンや村上世彰よりも、凄みがありますね。

悪いことは悪いこととして、それはそれで、ちゃんと法的にも社会的にも制裁を受けてもらうとしてね、しみじみと、おカネが人格形成に与える力って大きいなあ、と思って、見てました。

粋って、あるじゃないですか。あの人は粋だね、と。
粋なことをするのには、お金がいるんですが、お金の使いかたが洗練され、振る舞いが洗練され、粋な人だと評価されるまでには、やはり何代も重ねないと難しいんだろうな、と思いましたわ。
京都に粋人が多いのは、やっぱ、長いあいだ、都であり続けたってことですね。

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