2007年11月10日土曜日

イカで思い出したこと



昨日、イカを大量にもらってイカと大根の炊いたんをつくってイカと大根の炊いたん日記を書いたわけですが…。

イカで思い出したことがありましたわ。

むかし、南米のペルーで遊んでたときのこと。
オレは、若いころは3年半ほど貧乏旅人をやってまして、世界中をぐるぐるほっつき歩いた挙げ句に南米の西海岸、ペルーに落ち着いて、まだ旅行中ではあったんですが、日系人が経営するペンションの管理人をやってましてね(笑)

そこらへんの話を書き出したら止まんなくなるので、えーっと、どっから書こうかな。

まあ、管理人をしてるといっても、掃除と、宿泊人の観光案内のアドバイスくらいしか仕事はないし、旅行中なのだからやらなきゃならないことなんて当然ないし、ヒマなのですよね。
で、ヒマにまかせて、夜な夜な遊び歩いていたわけです。

んで、ペルーの首都リマにいたんですが、リマは港町でもありますんで、夜になると、ベッピンさんがいっぱい湧いてくるんですわ。
世界中のどこに行っても、夜の港町には、ベッピンさんがいらっしゃいますからな(笑)

彼の国のシステムは、こうなっとります。
一見、普通にバーなのですが、カウンターの外には、なぜかベッピンさんが多数いらっしゃいまして、表向き、バーに遊びにきたお客ということになっとります。
んで、そんなかから、これは!ってベッピンさんに狙いを定めて、話しかけるわけですよ。
話といっても、いくら?って話ですけれども(笑)
ほいで、話がまとまると、じゃ行きますか!ってことになりますわな。
普通のバーなので、チャージとかは一切なくて、飲み代食い代だけを払えばいいのですが、なぜか、ベッピンさんと話がまとまってベッピンさんと、じゃ行きますか!って一緒に出るときだけは、店側から問答無用の寄付を要求されるのですよ~。
一応、売春はダメって国なので、そういうシステムになってるんですがね(笑)
もちろん、店のなかで喋って楽しんでるだけだと、お客同士がおしゃべりに興じているだけだから、飲み代食い代以外に一切おカネはかかりません。そういうときもあったけれども、まあ、ほとんどは、店から外に出るわけで…。

えーっと、なんの話を書いているのだ、オレは(笑)
最終的に、イカの話に辿り着くはずなんですけれどもね…。


とにかくですな、表向き、店は女衒をやっているわけでも置屋をやっているわけでもないことになってまして、ですから、店が決めた定価というものが存在していなくて、価格については、ベッピンさんとの直接交渉なのですよ。
これがね、日本からやってきた商社マンだと一発でわかる風体だと、ビックリするような値段を吹っかけられますわ。でも日本からやってきた商社マンや役人なんかは、まあ、カモですから、言われるままの金額を財布から出して、ご愁傷さま~!ってかんじですね。
オレみたいに、裏の裏まで知り尽くしているようなすれっからしの客だと、パンスト1足だとか100円ライター1個だとかで話をまとめてしまった挙げ句に、ホテルに行かずにそのベッピンさんの家に行ってホテル代を浮かすどころかそのまま数日いついてしまう、なんてこともあり…。

えーっと、なんの話を書いているのだ、オレは(笑)
最終的に、イカの話に辿り着くはずなんですけれどもね…。


んで、一度ベッピンさんの家に行ってしまうと、家がわかってしまうわけですから、次回からは店に行くよりもてっとり早いわけですよ。店に行って、交渉して、連れ出すときには、店から強制的に寄付を要求されるわけですから、店を通さずに、次回からは直接家に行けばいいわけで。
家行ってゲームして遊んだり、市場に連れていってもらったり、安くて美味い食べもの屋さんに連れていってもらったり、デートしたり…、まあ、旅人なんてヒマでヒマで仕方がない人種ですから、疑似恋愛を楽しんでですな、楽しく過ごすわけです。
家を教えてくれない場合は店に行くしかないんですが、店が閉まるのは朝の5時でして、夜中の3時ころに行って、ペッピンさんを捕まえて、100円ライターにパンストもつけるから、閉店のときに店をバラバラに出て、店の外で落ち合おうよ!なんて交渉もしてました。
もう、せこいせこい!(笑)
なんせ、貧乏旅人のスナフキンですからね☆

えーっと、なんの話を書いているのだ、オレは(笑)
最終的に、イカの話に辿り着くはずなんですけれどもね…。


そんなわけで、オレなんざすれっからしの旅人ですから、安く遊んでいたわけですよ。それでも、彼の国の物価からすれば、結構なおカネを落として入るんですけれどもね。
ただ、ベッピンさんからすれば、やっぱ、ゼニをたくさん落としてくれるほうがいいわけで、ゼニをたくさん落としてくれる人がやって来たら、もちろんそっちになびきますわな。
でも、日本の商社マン&役人は、ベッピンさんたちの人格を認めないような振る舞いをするから、落としてくれるゼニはいただくけれども本当は大キライ!ってパターンが多いですけれどもね。

さて、そこへ、日本の漁師さんたちがやって来るのですよ。
ペルー沖は世界でも有数の漁獲高を誇る漁場でして、日本からマグロ漁船がバンバン来てましてね。
赤道直下からの南太平洋暖流と南極からやってくるフンボルト寒流がぶつかるのがペルー沖でして、しかも海底棚になってますから小魚が山ほどいてましてですね、そいつを餌にしているマグロがわんさと集まっている場所なのですね。
んで、太平洋をひとまたぎして大トロがごっそりの本マグロを日本の漁船が捕りに来られてですな、釣り上げては片っ端からシメて瞬間冷凍して日本に持ってかえって、オレたちの食卓に並ぶわけです。
まあ、漁船のマグロ貯蔵庫なんてちっこいですから、高く売れるトロの部分だけを切り取って冷凍貯蔵して、残りは海に捨てちゃうなんて無茶なことをやっている漁船もいまして、それが乱獲の原因となって、世界中から目の敵にされていたり…、あぁ、こんな話を書き出すと社会派になってしまうのでやめておきます…。

なんの話でしたっけ?
あ、漁師の話か。

そうそう、日本からやって来たマグロ漁船がペルー沖でマグロを捕ったあとは、日本に帰るために船を整備したり油の補給をしたりするので、漁師さんたちはヒマになりましてですね、船舶用のビザを発給してもらって上陸してくるのですよ。
んで、漁師さんはカネ持ってますからね! 本国の家族のもとに送金されるぶんとはべつに、小遣いをもらうんですが、んなもん、船のうえだと使うところがないですから、遠洋漁業で何ヶ月も船のうえで暮らしていると、カネがたまって仕方がないのですよ~。
そいつを、陸に上がったときに大盤振る舞いしますから、もうね、オレみたいな貧乏旅人なんて、まーったく太刀打ち出来ません(笑)

店ごと借り切ったりとか、平気でやってくれますからね(笑)
んで、漁師さんというのは、特に遠洋漁業でいろんなところに行ってる漁師さんというのは、相当に国際的な感覚を持った人が多いですから、ペッピンさんとの付き合いかたが上手いのですよ。商社マンやら役人やらよりも、よっぽど国際感覚に優れてますから☆
カネをまったくケチらないし、つまんないことはしないし、ベッピンさんが喜ぶことばっかりするから、モテモテですわ~。
オレら、なんぼ頑張ってもダメですね(笑)

だからね、漁師さんと張り合っても勝ち目などまーったくないので、美味しい思いをしようとしたら、漁師さんと仲よくなって一緒に遊ぶほうが、全然いいわけです。

えーっと、なんの話を書いているのだ、オレは(笑)
最終的に、イカの話に辿り着くはずなんですけれどもね…。


んで、漁師さんと仲よくなるとですな、こっちはベッピンさんがたくさんいる穴場も知ってるので、そういう情報を教えるというか、一緒に連れていって、カネは知らぬ間に漁師さんたちが出してくれているという…。

そろそろ、イカの話に行かないと怒られそうですな(笑)

マグロをね、くれるんですよ☆
あの人たち、気っ風がいいですから、ベッピンさん情報を教えてあげたりすると、そのお礼だ!って言って、自分たちが釣ったマグロをくれたりするんです。船の冷凍庫に入れてもらって、もちろんひとりじゃ運べないから、宿の宿泊客を数人連れていって、みんなで運び出すの(笑) まる1匹ですからね!
一体全体、何人で何日かかって食べるんだ?って量ですから☆

ちなみにですね、マグロを捕るための餌がイカなんですが…。

ああ、やっと、イカの話に(笑)

餌のイカを日本を出港するときに仕込んでいって、そいつでマグロを捕るのですが、餌なので、こいつがなくなるとマグロが捕れなくなり、マグロを捕るためにイカ漁をはじめなければならんという頓珍漢なことも発生するわけだし、そもそもがマグロを捕る漁法とイカ漁とでは漁法も装備も漁場も違ってくるので、そんなバカなことはしない代わりに、イカはものすごく貴重に扱われてます。

なので、マグロはくれてもイカは絶対にくれませんわ。
イカのほうがね、全然貴重なのですよ。

ところが、です。
もう、いつのころだったか忘れたけれども、こんなことがありました。
日本のマグロ漁船と、ペルー海軍の潜水艦が、洋上で衝突したのですよ。
どっちもソナー(探知機)を装備してるし、衝突するなんて!ってかんじなのですが、じつはペルーという国はとことんカネがない国でして(インカの財宝はたんまりあるんですけれどもね)、この潜水艦が、アメリカ海軍の払い下げ、しかも、第2次世界大戦のころに活躍していたもので現役を引退した潜水艦をですね、ペルー海軍が格安で買い取って、現役で就航させているのですよ~。

なので、どんだけ旧式の装備がなされているのか想像するのも怖いですが、そんな潜水艦だからか、日本のマグロ漁船と衝突しましてですね、しかも潜水艦のほうが沈んでしまって、潜水艦が沈むってのも変な話ですが、要するに、制御不能になりまして、どっちが悪いのか知らないですけれども、損害賠償問題に発展しまして…。海難裁判になったのでした。

裁判だから、それなりに長引くのですが、問題は、そのせいで漁船を出港させることが出来ず、つまり漁師さんたちは日本に帰ることが出来ずにですね、3ヶ月くらいはペルーで足止めを食らってましたな…。

ということは、です。船は動かせない、でも、マグロとイカを冷凍させている冷凍庫は死守せねばならんわけでして、船が動かせないのにもかかわらず、油はガンガン必要なわけです。これがものすごい金銭的なロスらしくてですね…。
こうなると、マグロは高値で売れる商品だから死守するけれども、これ以上は漁なんてやってられないし油ももったいないからってことで、イカを保存している冷凍庫をついに切ることになりましてですね、今度は、イカが大放出ですよ(笑)

最初にもらったマグロを丸1匹、宿の宿泊客全員で毎日片付けているうちにですな、今度は大量のイカがお目見えして、なんやしらん、毎日毎日、マグロとイカを食ってましたわ~。

リングフライにしたり、スパゲティの具にしたり、醤油焼きにしたり、イカ飯つくったり。
煮たりもしたのですけれども、大根がないのですね。なので、個人的には、大根抜きの煮たイカだけってのは、あんまり食指が動きませんでしたが…。


ということを、昨日からイカを食べながら不意に思い出しましてですな☆
ちゃんとイカの話に着地出来てよかった(笑)


ちなみに、ペルーには「コンドルは飛んでいく」で有名なアンデス山脈がありまして、そこは羊やらアルパカやらのウールの宝庫で、原色溢れまくる民族衣装が現役でわんさとあるところですから、機会があれば相方さんを連れていってあげようかと思ってます~。
ベッピンさんがたむろしている件の店は、巧妙に避けないとダメですが(笑)

久しぶりにオレも帰りたくなってきたし。
アンデス山脈の東はアマゾンのジャングルがはじまるのですが、そこにはオレの家と畑があるからね☆




今日も昨日の続きので晩秋の夜長編。今やスウェーデンを代表する存在になったイェンス・レークマン!

本日の1枚:
『Black Cab』
Jens Lekman

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