2007年11月23日金曜日

食べるものは、見知った人から買いたい





吉兆がややこしいことになってますな。
店頭販売している菓子やら総菜だけかと思ってたら、店で出す料理にも食品偽装してたって?

そもそも「料亭の味」が、安価で店頭で売られていたりカジュアル店が出来ること自体、暖簾をひろげすぎだわ!って思ってたので、そっちでなにかしらの粉飾が発覚しても、それほど驚きはしなかったんですが(賞味期限偽装を売り子のせいにして口止めの念書まで書かせていたという前近代的なやりくちにはビックリしましたが…)、まさか料亭本体で出してる料理まで、いろいろと偽装していたとは…。

そりゃ、ほかの吉兆はいい迷惑ですわな。

吉兆の後継って、暖簾を5つだか6つだかにわけて、本吉兆は創業者の嫡男を継がせて、残りは全部、娘婿に継がせてるみたいですね。
大阪商人は、今でも、婿を娶らせて家業を継がせるところが多いですから、吉兆もそれに倣っていたんでしょうな。
ボンクラの嫡男に家業を継がせるくらいなら、従業員、取引先、お客さんのなかから選り取りみどりで腕っこきを後継に迎えたほうが、家業繁栄の確率は高くなりますからね。
オレの周りでも、そうやって婿入りした社長がたくさんいてますわ。
創業者の眼鏡にかなうくらいの腕っこきを迎えるわけですから、婿入りといってもマスオさんみたいな肩身の狭い思いをしている人はいなくて、みーんな、ちゃんとトップ面してます。そこで遠慮するような人材なら、そもそもが創業者の眼鏡にかなわないので。

でも、吉兆の場合は、それが裏目に出てしまったんでしょうね。
暖簾を守るよりも、勢力拡大に目がいっちゃったのかな。

そもそも、あのクラスのお店だと、賞味期限なんて発想はないはずです。
朝仕入れたものを、その日に使い切る、残ったら賄いにまわす。いつまでだったら出せるとか、そういう発想自体がないでしょ。ベストのタイミングでしか出さないはずですから。
それをね、在庫を抱えるような商売にまで手をひろげるから、これまで考えたこともなかった賞味期限なんてものに取り組まなくてはならないわけで。
…と思っていたら、店で提供する料理にまで偽装? そりゃ、無理でしょ。
問題になってる船場吉兆は、婿養子の社長の下に、その婿養子の息子が専務になってましたね。このへんも、ちょっと違和感を感じましたです。

さて、ここのところ、ずーっと神戸の編集部で寝泊まりしてまして、今日、やーっと自宅に戻ってきました。といっても、自宅でもやっぱり仕事仕事仕事なんですけれどもね。

んで、久しぶりに家のしたの市場に顔を出してみると、しばらく見なかったねえ!って、声がかかること!(笑)
八百屋でつかまり、魚屋でつかまり、豆腐屋でつかまり…。

結局、今晩は、豆腐を2丁買い込んで、湯豆腐にすることにしました☆
って、これから食べるんですけれども…。

市場で買いものしていていっつも思うのは、ちゃんと会話があって、オレの晩ゴハンの献立を考えてくれたり、体調を気遣ってくれたり、おすそ分けをいただいたり、そういう、真っ当なコミュニケーションがあるのはかなりいいよなあ、ってことです。

八百屋さんとか、今日の白菜は高いから買わんとき!とか、自分とこの商品をつかまえて、平気でそんなこと言ってます。

ほら、顔を知ってる人に対して、人って、悪さをしないもんでしょ。
いや、そりゃ、悪さする人はするけれども、やっぱ、見知った人に対しては、よほどの悪人でないかぎり、変なもんと知っていて売りつけるようなことは、しないもんじゃないですか。

オレがいつも買ってる豆腐屋のオバァは、毎日夜中から起きて豆腐をつくりはじめてね、大豆だけでつくってるから豆腐が甘いしね。消泡剤使ってないから、どっしりしてるし、皿に置いておいても水が一滴も出ないしね。
ジョニーの男前豆腐なんかとは、比べもんにならんですよ。

船場吉兆にしても、赤福にしても、自分らが供するものを食べてる人の姿が、きちんと想像出来なかったんだろうな、と、オレは思うのですよ。
多くの農家が、自分たちが食べるコメだけは農薬を使ってないものにして、農薬を使ってたくさん収穫出来たコメは市場に出す、なんてことをするのは、それを食べている人をリアルに想像出来ていないから、ですね。だからこそ、自分たちが食べるぶんだけは、真っ当なものを、ってなるわけです。
誰かに食べてもらうためにコメをつくってるんじゃなくて、市場に売りに出すためにコメをつくってる。そういうことです。

食べてる人をリアルに想像することが出来たら、そうそう、悪いことは出来ないもんだし、儲けのためにその誘惑に駆られても、思いとどまることが出来るじゃないですか。

オレ、商売の基本は、お客さんをどれだけリアルに想像することが出来るかってことにかかっている、と、いつも言ってますけれども、まさにそういうことですよ。

市場はね、みーんなオレの顔を知ってますから。
この人たちは、オレに変なものを売りつけへん!って、オレは信用してますね。その一点で、オレはいつも市場でモノを買ってますわ。
成分表示って、なにも今にはじまった話じゃなくて、むかしっから信用なんて出来ないし(北朝鮮からアサリのちっこいのを仕入れて、それを島根の海岸に埋めてそこで畜養したら、島根産になるもんね)、それやったら、この人が売るもんなら大丈夫!って、そういうお店を探したほうが早いですよ。

ま、料亭というところは、じつはそういうことで成り立っているはずの場所ですが、船場吉兆は、今回、間違えましたな。一度失った信用を取り戻すのは、並大抵の努力では無理ですよ。

と、洗面器持っていって、そこに水張ってもらって豆腐を2丁入れてもらい、今日は安上がり〜♪と、ひとりゴチながら、オレは思うのでした。

さ、湯豆腐しよっ☆
最後にね、やっぱ、ダシと緑茶を割って、ポン酢を垂らして、お茶漬けにするの。んで、そんときに、豆腐を崩して、お茶漬けに混ぜるとね、美味いんですよ〜。浅葱、とろろ、ノリ、ワサビを添えてね。
豆腐屋のオバァがね、むかし、教えてくれたのでした☆


最近出てきたブルックリンの新生、ハーレム・シェイクス。またまたエバーグリーンなメロディを…。


The Harlem Shakes / 『Old Frames』

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