2007年11月26日月曜日

消えゆくもの

ここ数年、とあるお客さんの会社の社長さんの奥さんが所属する団体の京都観光のナビゲーターを仰せつかっておりまして、春と秋に、京都のお寺さんを案内&記念撮影係を強制的にさせられておりまして…。。。

今日、またまた京都ですよ。
3連休でどピーカン&気温もよろしくってことで、こんなときの京都なんて、どこ行ってもどうにもならんですけれどもね。
春先も、銀閣寺と哲学の道と南禅寺と連れまわされたし、ほんま、仕事がたまってるのでカンベンしてほしいんですが…。。。。(笑)

えーっとね、バスをチャーターして、15人ばかり引き連れて、お寺さんを2ヶ所、まわってきました。
1軒目は、圓通寺。
2軒目は、金閣。
金閣って…、1週間前にブラジル人のオッサン連れて、行ったところなんですけど(笑)

まあ、でも、圓通寺は2年まえに行ったきりだし、これはこれでよかったんですけれどもね。

そんなわけで、今日は圓通寺を。
しっかし、京都中の道が大渋滞で、ほんま、バスが動いてくれませんでしたわ〜。


えーっと、圓通寺はなかなかシブいお寺さんでして、京都市内でも平野部の一番北にあるせいもあって、それほど人が訪れないお寺さんなのですね。

でも、清水寺、知恩院、南禅寺、金閣寺、銀閣寺、東寺、三十三間堂、天龍寺、大原三千院、鞍馬寺、東福寺、平等院鳳凰堂、二条城、御所…、ここらの大駒を制覇したら、その次に行ってみたくなるランクのお寺さんです。
その次のランクといえば、詩仙堂、高台寺、高山寺、神護寺、広隆寺、仁和寺、相国寺、大徳寺、建仁寺、泉涌寺、善峯寺、祇王寺、桂離宮、修学院離宮あたりになるんでしょうが、そのなかでも一番アクセスが悪いせいもあって、それほど混んでいるお寺さんではありません。平日の昼間なんかだと、きっと独り占め出来るお寺さんです☆

とにかくね、市バスであれ電車であれ、なにを使っても、かなり歩きます。
山を越えたり、田んぼ道を延々と歩いたりしなければならないのですが、その道中の景色が、のんびりしていて、いいかんじです。
まあ、今回はバスをチャーターしてますから、お寺さんのまえの駐車場に横付けですが、これがね、もったいないの。でも、オバァ連中ばっかりだから、仕方ないですね。年寄りと金持ちは、タクシーで来ますから。

ここはですね、なにもないお寺さんです。
見るべき仏像も、見るべきお堂も、ありません。

でもね、庭が素晴らしい!
そのひとことに、尽きます。

借景庭園でして、樹々のうしろにそびえ立つ比叡山がね、見事です。
生け垣と樹々の葉で空間の上下を区切り、そこに比叡の山並みがすっぽり収まるようにつくられています。
後水尾天皇が作庭したのですが、比叡山がもっとも美しく見える場所を20年かけて探したといいますから、これは金持ち道楽の極みですね。
それでいて、禅寺ですから、金持ち道楽の厭味が、まるでありません。
ゴダールの映画ではないけれども、金持ちでないと出来ない表現って、やっぱりありますね。

この時期は紅葉も美しく、ほーんとに、ずっと見とれてました。
ただ、オレのしょぼいデジカメで撮影すると、せっかくの比叡山が、キレイに映ってくれないのですね。。。
これ、携帯からだと、比叡山が見えないかも知れません。。


さてここは、長らく、撮影禁止のお寺さんでした。
黙って撮影すれば怒られるし、そもそも、入室するときにはカメラを預けなければならないほどでした。
そもそも景色は目に焼きつけるもので写真に撮るものではないからです。
オレは、その考えにすごく賛成で、今でこそ撮影してますが、それは京都の神社仏閣本をつくると決めたからで、そんなことを考える以前にまわった大半のお寺さんでは、1枚も写真を撮ってません。
撮るとね、忘れちゃうんですよ。
記憶装置、記録装置に頼ると、脳が働きませんね。これ、困ったもんですけれども。

今、このお寺さんでは、撮影することが許されています。
じつは、この庭の先で大規模開発の許可が下りて、これからビルがバンバン建つ予定になってしまっているのですね。
住職さんは反対運動を続けていますが、景観を厳しく保存している京都市であっても、この決定は覆らないそうです。
なので、住職さんは、出来るだけこの景色を記録してもらおうと、今、撮影を許可しています。

消えていく景色なのですね。
ですから、目に焼き付けておきたいし、もっというならば、写真ではなく、誰かに、絵を描いてもらいたいくらいです。
この美しい風景よいつまでもそのままでいてくれ!と、センチメンタルな感情を込めて描くもよし、所行は無常で、どんなものでも移ろいゆくという儚さを込めて描かれるものでもいいです。
そうした感情のこもったこの風景の絵を、ぜひ、見てみたいとオレは思っています。

住職さんが厳しいせいもあって、この庭で、ぺちゃくちゃとおしゃべりをしているオバァは、まずいません。
しゃべってると、怒られますから。
おかげで、オレも、今回はラクなお守りとなりました(笑)


そうそう、帰りしな、近くの農家のオバァと話し込んでいたら、掘りたての金時人参をいただいてしまいましたですよ☆
豚汁や粕汁に入れる以外に、なにに使えばいいんでしょうか?
誰か、教えてくださいませ。


圓通寺の近くにある深泥(みどろ)池。
水面に映った景色がきれいです☆



圓通寺の山門です。



比叡山を借景とした庭園。見えますかね? 樹々の後ろにうっすらと青く聳えるのが比叡山です。














庭の反対側は、竹林が広がっています。






こんなに金時人参をいただいてしまいました(笑)

0 件のコメント: